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メイドイン俺 【めいどいんおれ】 ジャンル つくってあそぶ瞬間アクション 対応機種 ニンテンドーDS メディア 256MbitDSカード 発売元 任天堂 開発元 インテリジェントシステムズ 発売日 2009年4月29日 定価 4,800円 判定 良作 ポイント (プチゲームなら)どんなゲームでも作れるぞ。オブジェクト指向を理解できるゲーム製作入門にオススメ ワリオシリーズ 概要 スーパーツクリエイター21(ゲーム制作) 作り方教室(充実したチュートリアル) くみたて道場(プログラミング思考の指導) 俺たちの声 評価点 問題点 総評 その他 作品例 余談 概要 5秒または10秒で終わるプチゲームが豊富に盛り込まれているのが特徴の『メイド イン ワリオシリーズ』。 そのプチゲームをプレイヤー自身の手で作って遊ぶ…というコンセプトで生まれたコンストラクション系ツール。 パッケージのキャッチコピーの通り、自分で作って自分で遊ぶのはもちろん、ソフトを所持しているプレイヤーに配布して遊んでもらう事も自分がプチゲームをもらって遊ぶ事も可能。 2014年5月20日に任天堂がWi-Fiコネクションを終了したため、Wi-Fi機能は現在使用不可能。 スーパーツクリエイター21(ゲーム制作) プレイヤー側が行える操作方法は全てペンタッチのみ。作るのも遊ぶのもペン1本で賄える。(*1) ゲームツクリエイターでは「おえかき」「おとづくり」「くみたて」「せってい」の4つの工程を経た上でゲームが作ることが出来る。 「おえかき」でゲームに登場させるキャラや背景を作って、「くみたて」でゲーム中に登場するぶったい(キャラクター)の動きを「○○した時○○」の形で命令したりゲームの成功・失敗条件等を決めていく。 現在で言うところのビジュアルプログラミング(*2)であり、専門知識が無くても作ることができる。 「おとづくり」でゲームのイメージに合った音楽を作り、「せってい」でゲームの名前などを決めれば無事出荷される。 ツクリエイターではゲーム制作の他にもレコードツクリエイターで音楽を作ったり、マンガツクリエイターで4コマ漫画を作ることが出来る。 マンガツクリエイターではトーンやふきだし等が用意されており、レコードツクリエイターではゲーム作りで使いたくなった音楽を流用させることも可能。 ゲーム・レコード・マンガにそれぞれサンプルが用意されている。レコードのサンプルはクラシックや任天堂ゲームのBGMのアレンジ。 マンガのサンプルはしりあがり寿・中川いさみを始めとする漫画家によるもの。そしてその全てが超シュール。 作り方教室(充実したチュートリアル) 簡単にプチゲームが作れる! とは言ったものの、初見でツクリエイターを使いこなすのはほぼ不可能。そこでまず「作り方教室」という場所で講義を受ける事になる。 これがかなり丁寧で、簡単なゲームを実際に制作しながら、ゲーム制作が始めての人(ほとんどがそうだろうが)でもイラストの制作からAIの設定までを理解できる様になっている。 講義はワリオとペニーの対話形式であり、テキストもらしいネタを交えつつ未経験者がすんなり入り込めるよう工夫されている。 この講義を受けないとツクリエイターが起動しないようになっており、ろくに説明を読まずに勢いだけでゲーム作りを始めた結果、挫折……というありがちなパターンに陥らないよう配慮されている。 くみたて道場(プログラミング思考の指導) 作り方教室をクリアすると登場。 クイズ形式で「くみたて」の段階において、どのように組み立てれば正解へと導き出せるかといった問題が出題される。 押すとしばらく反応しないボタンや複数のアニメーションを連続再生させるといったゲーム制作で役立つことがある問題が中心となっている。 上記の作り方教室と違いこちらはやらなくてもゲーム作りが出来るが、遊び感覚で高度なテクニックが学べるため、やっておいて損はしない。 俺たちの声 ゲーム内に登場する掲示板。ネット上にあるような匿名の掲示板を模したものを覗く形になっており、会話の流れからツクリエイターの隠し機能や、ゲームを作る上でのアドバイスがわかるようになっている。 住人のキャラ付けがしっかりされており、実際のコミュニティを覗く気分にもなれる。ふけぇな… 評価点 ゲーム作りの体験が出来る 実際のゲーム作りにおける「プランナー」「プログラマー」「デザイナー」「コンポーザー」の仕事を擬似的に体感出来る。 プログラミング言語の知識が無くても作れる上にオブジェクト指向の勉強にも役立つので、ゲームクリエイターを目指す人には是非一度遊んでもらいたい。 プログラミングは従来のと異なり、ビジュアルプログラミングに近い仕様のため、専門知識が無くても組むことが出来る。 フラグ管理も実装されており、最初のうちはややこしいが上手く使えば面倒な処理を一括して賄えたりと便利。 近年では近い仕様のツールやアプリも普及されており、比較すると本作は出来ることが限られている。一方で、その分考える手間や工数が省ける上に作り方教室や組み立て道場で面白わかりやすく教えてくれるため、お手頃価格での制作ツールとして今もオススメ出来る。 素材を一から作ったり集めなくてもゲームを完成させることが出来る 「ゲーム作るには1から絵を描いたりプログラム考えたり音楽作らないといけない」という不安も心配無い。 メイドイン俺内にあるサンプルや、Wi-Fiで配信されているゲームのキャラクターをそのまま製作中のゲームに登場させることが出来る。 最初のうちはサンプルのゲームのグラフィック違いや、サンプルの素材を使って別のプチゲームを作ってみると良いだろう。それだけでも一つのゲームとして成り立つ。 さらに、動きや結果が一緒でいいのであれば、プログラムも流用させることが出来る。ゲーム画面にボタン操作を実装する場合、この機能を使えば作業の短縮化に繋がる。 音楽も流用だけでなく、イメージに合った音楽を制作してくれる機能「マエストロ」により、ゲームのイメージを伝えるだけで自動的に、数種類の音楽を作曲してくれる。 他にも自作のドット絵をスタンプとして保存することで背景一面に塗ったり出来る。サンプルのスタンプにはこれだけでマリオのゲームを作ることが出来るほど豊富。 それもめんどくさいという人はワリオカンパニーにてキャラクターの絵を書くだけでゲームが出来るアルバイトをすることも可能。但し一定のパターンのゲームしか出来ない問題点はある。 制作のハードルが低い 極端な話、プレイヤーにわかりやすく、かつ成功条件さえ成立すれば1つのゲームとして成り立つ。制作のコツさえつかんでしまえば短期間でたくさんのゲームを作り上げることができるようになり、制作のモチベーションも保ちやすい。 他のクリエイションツールソフトの場合、たとえ初心者向けであっても制作の手順とコツを理解してからひとつのゲームを作り上げるまでには多大な時間と手間を必要とする。更に初心者ユーザーは初めから市販ゲームのような大作を作ることに意識が向きがちであるため、いきなり規模の大きい作品を作ろうとハリキッてしまい結果、手間と苦労が大きすぎて挫折という顛末になりがちである。その点、作るものが規模の小さいプチゲームと予め決められている本作は、ゲーム制作の初心者にとって、ゲーム作りのプロセスを程よい規模で体験できるツールであるとも言え、非常に理に適っている。 プレイヤーの腕次第で様々なゲームを作り出せる 販売されている実際のゲームをメイドイン俺で再現するといった芸当も可能。 制限は厳しいのだが、中には本当にお金を払ってプレーしてもいいようなハイクオリティなものから、任天堂的・著作権的・公序良俗的にもギリ~アウトな代物、キワモノ、果ては定義を完全に無視した運ゲーまで有志によって多数のゲームが作られている。 組み立ての面で参考に出来る事はたくさんあるため、ツクリエイターで呼び出して中身を覗くと勉強になる。 説明書にある「どんなゲームでも作れるぞ。」という謳い文句に偽りは無いと言える。 作ったゲームを他の人に配布したり貰うことが出来る 「たくはいセンター」でWi-Fi経由で自分の作ったゲームを他のフレンドに配信したり、フレンドのゲームを一度に二つまで貰って遊ぶことが出来る。 更に貰ったゲーム素材は自身のゲーム作成に流用することが出来る。ドット絵が精巧で複雑な物を簡単に自分のゲームに使わせてもらう…といった芸当も可能。当たり前だが、もらった素材を使った作品は製作者の許可を得た上で配信するように。 そういうことをされるのが嫌な人は、素材が悪用されないようにロックをかけてゲームだけ遊ばせることもできる。 また配信したゲームは出荷本数という形でダウンロード数が表記される。これも製作者のモチベーション向上に繋がった。 現在は終了したが、定期的にテーマを決めたオリジナルゲームのコンテストも開かれていた。入賞者の作ったゲームを期間限定で配信されていた。 ゲーム以外にもマンガや音楽を作ることが出来る メインはゲーム制作ではあるが、レコード機能を用いて作曲が可能で、白黒で4コママンガの制作も可能。専用のスタンプやトーンも用意されている。マンガは最初と最後に簡単なSEをランダムで再生してくれる。 同じようにこちらもローカル・Wi-Fiを介してフレンドとの共有が可能だった。 サンプルゲームのコンプリートが従来作より楽 従来は一定ノルマのプチゲームをこなし、ボスゲームをクリアしないと次のステージへは行けなかったが、本作ではボスゲームをクリアせずとも1日おきにモナ→ジミー→アシュリー→オービュロン→ナインボルトと新しいステージが出現するようになった。作り方教室を全部見るとスタッフクレジットが解禁されるので、それがストーリーモードの役割を担っているためと思われる。 ただし「ごちゃまぜ」などのエンドレスタワーにあたるステージはサンプルゲームを全て出現させないと解禁されない。 セーブ・ロードにかかる時間が非常に短い DS用ソフトとしては初の試みとして、メディア媒体にNAND型フラッシュメモリを用いている。 お陰でツールソフトに付き物のデータ保存をかなりの高速で行なうことが可能となっていて、快適なプレイを実現している。そこそこ大容量のゲームでもセーブ・ロードに5秒以上かかる事は無いと言っていい。 これによりこまめなセーブも可能となり、制作のモチベーションも保ちやすいため制作によるストレスが大幅に緩和される。 ツクリエイターもセーブデータが2つあるため、1つ目の完成系を2つ目にコピーして手直しも出来る。これなら完成系のデータを滅茶苦茶にせず、取り返しがつくため、安心して改良作業に打ち込める。 問題点 ゲーム作成に飽きやすい ゲーム作り全てに言えることだが、動きが違ったりクオリティが劣ったり、思ったより面白くなかったりと、完成する前に心が折れてしまうことが多い。 初めからゲーム作りへの強い関心と制作にかけられる時間と根気のあるプレイヤーはともかく、特にゲーム制作に関心があるわけでもなく興味本位で手に取った若年層のプレイヤーなどは少し作ったらすぐ投げてしまうことが多く、中古に出回る原因にもなった。 本作は製作に重点を置いたソフトであるため、従来のメイドインワリオシリーズの遊んで楽しむイメージで購入したプレイヤーも多かったため、上記の結果になったと思われる。 使える機能や容量が少ない 使えるのは背景の1枚とオブジェクト(くみたて)の15個まで。容量や大小問わずに15個の個数制限があるため容量の節約を考えながら作る必要がある。 特に「おえかき」の場合、使える色が少ないため、色不足で表現に制限が出来てしまう等、表現するのに色々制約がある。 黄色、オレンジ。水色、青。と明るい色と濃い色といった感じで基本的な色は揃ってはいる。しかしピンク系がピンクと紫の中間のような色しか無かったり、こげ茶等のかなり濃い色は無いため、表現に苦労する。 複数の色を市松模様のように組み合わせて色を作るテクニックもある(最初から用意されているカラーにも含まれている)。しかしこれだと主線の色と被って混ざってしまう等の問題もある。 効果音も予め用意されたものしか使えず、自作することも出来ない。それなり種類はあるが、動物の鳴き声といった限定的なものもあり、人によって実用的なものは限られてしまう。 拡大、縮小、回転、点滅、変形、一時透明、等の便利機能は無い。これらのことをやりたい場合、イラストを増やしアニメーションするしかなく、簡単なことでもかなりの容量を食ってしまう。 こする、なぞるといったDSらしい動作は作れない。これらを作るとなると難しいと思われるため仕方がないが、十字ボタンやボタンを使用したギミックも作成不可。そのため作れるゲームは結局「どこかにタッチする」か「タッチで連打する」の二種くらいしか無い。 テスト中に物体のスイッチの有無の確認が出来るが、画面外に置いた物体は確認出来ない。 作成中、十字ボタンは場面によって対応してたりしてなかったりちぐはぐ。細かい操作が必要な場面では十字ボタンを使いたいものなのだが……。 これらの不満はこの手のコンストラクト系ツールの常としてつきまとう制約でもある。制限された環境の中で工夫を重ね試行錯誤を続ける根気と、そしてどんな作品を作りたいのかその明確なビジョンが必要なのだ。 そんな不満があるなかでも、紫と他の色を組み合わせてピンク色に見せるように作ったり、4コマ漫画を用いて説明書を用意したりとツクリエイター精神を発揮させたプレイヤーもいる。 難易度調整はゲームスピードが上がるだけ 過去作のメイドインワリオシリーズでは数が増えたりクリア条件が増えたりして難易度調整をしていたが、メイドイン俺ではゲームスピードが上がる以外に難易度を上げる方法が無い。 仕掛けをアトランダムに複数用意することで変化を持たせることは出来るが、あくまでランダムなので最初から難しい条件でゲームが始まることもある。 従来のメイドインワリオシリーズと比べるとゲームの質は低め ゲーム制作を重点に置いてるせいかサンプルゲームは過去作より少ない。画質も使える色の制限で見劣りがち。前作が同じDSの『さわるメイドインワリオ』だったため、比較すると見た目や操作性に劣っている。あちらは3Dも用いられたが本作は数色程度のドット絵しか使えない。 プチゲームの処理はタッチ操作にのみ対応で、「さわる」にあったスライドなどの様々な操作をさせることが出来ないのも製作の幅を狭めている。 十字ボタン操作も非対応なため、ゲーム上にコントローラを作ることは出来るが言うまでもなく非常に操作が不便。 現在ではWi-Fiコネクションサービスが終了してしまったため、ゲームを自由に集めづらくなっている。 他に過去作では定番だったミニゲームやおもちゃ要素が廃された。強いて言うならマンガやレコードがその立ち位置か。 しかしレコードを集めるにはミッションを達成する必要があり、現在は不可能なWi-Fiコネクションサービスを使用するミッションも多数あるため、収集は難しい。(貰えるレコードはある程度種別等は決まっているがランダムで、同じものを獲得する場合もあるが、全ミッションコンプすれば全レコードを獲得出来るようになっている。Wi-Fiコネクションサービス無しでコンプ可能かは不明) ボスゲームの練習が不可能 従来の「ずかん」に当たる「俺ショップ」にボスゲームは無く、ゲームコーナーでのぶっつけ本番しかプレイできない。 にもかかわらず本作はやたら難易度の高いボスゲームが多い。 ジミーステージの「ビリヤード」は球の動きがリアルであり、闇雲にショットするだけではファウルとなってしまう。 オービュロンステージの「すうじならべ」は3×3の8ピースに簡略化された所謂15パズルだが、15パズルというものは、「やり方を知っていれば1~2分でできるが、逆にやり方を知らなければ時間をかけても完成は困難」という二面性を持つパズルである。このゲームの対象世代である子供に自力で15パズルの解法を見つけさせるのはかなり厳しいものがある。だのにタイムオーバーになると「解けなかったんだから仕方ないよね」とばかりに容赦なくライフが減ってしまう。 ナインボルトステージの「ゲッソー」はマリオを操作し、不規則に動き回るゲッソーから逃げ回りながらコインを集める。だが操作はマリオの左右の矢印をタッチして行うため、スピードが上がるとタッチが追いつかずゲッソーに激突したり画面外に出てしまいミスとなってしまいやすい。 一方でモナステージの「ちゃくち」(3人の棒人間の体にくくりつけられた風船を割って陸に着地させる)とアシュリーステージの「スピードサンド」(食べられる具材だけをパンに挟んでサンドイッチを作る)は比較的簡単。 CERO(年齢制限)をすり抜けたゲームを作れてしまう 本作の対象年齢は全年齢対象(CERO A)である。が、年齢制限(CERO B~Z相当(*3))がつけられるような内容のプチゲームも作成できてしまう。そういったプチゲームもワイヤレス通信やWi-Fi通信で交換・配信できたため、対象年齢未満のプレイヤーも入手が可能であった。現に動画投稿サイトでは年齢制限がかけられる要素(セクシャルなど)を含んだプチゲームのプレイ動画が多数アップロードされている。 プチゲームのコンテスト開催時は利用規約に著作権・誹謗中傷・CEROに関わるゲームは審査対象外であったため公式経由のプチゲームは問題なかった。フレンド経由で手に入るプチゲームに制限の類が存在しなかったから発生した問題であった。 現在はWi-Fiサービスが既に終了しているため、こういったゲームが若年層のプレイヤーに流通する可能性は低い。 自由度が高いあまりの惨状なため、これらの事態を想定されても制限の類を設けなかったのはプレイヤーのモラルを信じ、自由に作れることにあえて制限をかけなかったものと思われる。 残念なことに今でも一部のプレイヤーにより如何わしい内容のプチゲームは公開されている。 この惨状が直接の原因かは不明だが、以後の任天堂の発売ソフトはツール機能が未実装だったり表現力が低い傾向にあった。 近年は再びツール機能が実装されつつあるが、ネットに投稿しても通報されて問題があれば削除されたりと厳しい制度となっている。 モナ達社員はワリオカンパニーを離れダイヤモンドソフトという会社に移籍しているがその理由は一切明らかにならない。 「俺たちの声」で「ワリオが怠けていたので愛想を尽かしたのではないか」と推測されている程度で本人達からの回答はない。わざわざ移籍させる必要性もあまりないはずである。 次回作『ゲーム ワリオ』では皆しれっとワリオカンパニーに戻っているのでモヤモヤが残るばかり。 総評 ゲーム制作を実際に体験し、その実力をコンテストという形式で発表して色々な人に作ったゲームを公開させたり出来たため、将来ゲームクリエイターを目指すプレイヤーの入門ソフトになったり、「○○のゲームをメイドインワリオで遊べたら」という想像を実現させてくれた。 公式配信サービスが終わってからも、動画サイト等で作品を公開したり配布したりするなど、ゲーム制作をするプレイヤーは数多くおり人気の根強さを物語っている。 Wi-Fiコネクションサービス自体が終了しユーザー間のやりとりが困難になった今、機能を強化した新作に期待する声も大きい。 近年はプログラミング学習環境も相まって構造の仕組みや理解を求められるため、身近で親しみやすい意味でも本作は先見の明を行ってたことに違いない。 その他 あそぶメイドイン俺(2009年、Wiiウェア) 自作したゲーム等を持っていく事ができる。DS版とは異なるサンプルゲームが72種類用意されており、これらもDSへの送信が可能。 リモコンを動かすことでペンを動かしAボタンを押すとタッチする判定が出る。お世辞にも操作性は優れていないので遊ぶ目的であればDSの方が優れている。 しかし画質は良く、取り込みも容易であるため動画投稿サイトでは本作を用いて動画投稿されていることが多い。 DS版と違いWiiウェア単体でゲーム制作は不可能。その代わり保存出来る容量が多いため保管庫として使用することが出来る。 他にもマンガツクリエイターの4コマも載せられているが、DS版同様シュールな内容に何も言え出せないものがある。 作ったプチゲームをSDカードに保存することが可能。これによりニンテンドーDSにもプチゲームを保存することが可能。 非公式な方法ではあるが、WiiのSDカードをPC等に移し、インターネットを通してプチゲームを他のユーザーとやり取りが可能。Wi-Fiサービスが終了した現在では唯一のプチゲームの共有手段である。 作品例 + ... 余談 Wi-Fiサービスの一つ「なんとアノ人がソフト」では実在する著名人やゲーム関連誌・業界関係者などが作成した俺ゲームが随時配信された。 有名どころでは『星のカービィ』や『大乱闘スマッシュブラザーズ』を生み出したゲームディレクターの桜井政博氏や、月刊コロコロコミックで長期連載中の『絶体絶命でんぢゃらすじーさんシリーズ』の作者である曽山一寿氏を始め、「週刊ファミ通」元編集長のバカタール加藤氏、ボタンを1秒間16連射で人気者の元ハドソン社員の『高橋名人』や人気声優の喜多村英梨氏らが制作したミニゲームが配信された。 なおこの企画に参加した最初の人物は、「3の倍数と3が付く数字のときだけアホになる」ネタでブームをおこした世界のナベアツ(現:桂三度)氏。本作発売前にCMで制作過程の様子が流されていた。 「さわる」でパーフェクトな身体を手に入れ、「おどる」でマッチョに変貌したDrクライゴアであるが、今作では「まわる」以前のデザインに戻ってしまった。 「スーパーツクリエイター21」は彼が発明したという設定になっている。 開発開始は『おどるメイド イン ワリオ』開発終了後であるが、創案とタイトルの決定は『あつまれ!!メイド イン ワリオ』開発終了後。本作発売よりも約5年半前から存在していた、ゲームボーイアドバンスの次世代機用ソフト企画だったのである。 動画投稿サイトには本作のプレイ動画が多数上がっているのだが、その中には、ゲーム会社に所属するプロの絵師がその会社のキャラクターを使って作成したものも含まれている。本作がプロからも高く評価されていることが窺える。 収録されたプチゲームのサンプルは全てスーパーツクリエイター21を介してスタッフが制作されたものとなっている。 本作の全てのグラフィックとBGMの音源は全てツクリエイターの素材と同じであり、ほとんどを使うことができる。(一部SEなどは収録されていない) ゲームのタイトルを「マリオペイント」にすると、はいけいやぶったい作成時のBGMが『マリオペイント』のものになるという小ワザがある。 「俺たちの声」でヒントを見ることができるが、勿論それ以前でも可能。当時遊んでいた層には感涙モノの仕様と言えよう。 なおマリオペイントもメイドイン俺も同じインテリジェントシステムズ開発である。 本作の「くみたて」は後にビジュアルプログラミング(VPL)として昇華され、本作以外にも似たような製作ツールが普及されている。 現在ではインターネットの普及やPC以外にタブレットも低年齢層にも手が届く環境となり触れる機会が生まれたが2009年当時にVPLを実現させた本作は先見の明を行っていた。 後に発売されたNintendo Switch用ソフト『ナビつき! つくってわかる はじめてゲームプログラミング』はシステムこそ大きく違えど、任天堂発売のプログラミングを学べるソフトとしては後継という事もできるだろう。
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ディスクファクスイベントシリーズリンク 機種はすべてファミコンディスクシステムで任天堂発売。 タイトル 発売日 イベント終了日 ジャンル 概要 判定 ゴルフJAPANコース 1987年2月21日 1987年5月10日(*1) SPG FC草創期の1984年に発売された『ゴルフ』をベースにマイナーチェンジ。キャラクターをマリオに差し替えコースを一新。 スルメ ゴルフUSコース 1987年6月14日 1987年8月31日 SPG 上記をベースにコースを一新し、グラフィックを大画面化するなどアレンジを加えた発展形。 スルメ ファミコングランプリ F1レース 1987年10月30日 1987年12月15日 RCG トップビューのレースゲームで24台の豊富なマシンから自分に向いたものを選び最速を目指す。 良 アイドルホットライン 中山美穂のトキメキハイスクール 1987年12月1日 1988年2月29日(*2) ADV 学園生活のドタバタの中で中山美穂と出会い、彼女との愛を育てるアドベンチャー。別名「恋愛シミュレーションゲーム」 良 ファミコングランプリII 3Dホットラリー 1988年4月14日 1988年5月31日 RCG 3D対応。フィールドビューによる抜群のスピード感だけでなく飛んだり跳ねたりもする躍動感あふれるレースゲーム。 良 関連作品 タイトル 発売日 イベント終了日 ジャンル 概要 判定 パンチアウト!! - - SPG 『ゴルフUSコース』イベント参加者10,000名に配布された賞品で、ロムカセットソフトのボクシングゲーム。その後、実在ボクサーのマイク・タイソン氏とタイアップした『マイクタイソン・パンチアウト!!』として1987年11月21日に一般販売された。 良 リサの妖精伝説 1988年6月21日 1988年8月20日 ADV ディスクファクスイベントではないがイベント用青カードを採用。テレフォンサービスでゲーム本編とリンクしたメッセージ配信を行った。 良 帰ってきたマリオブラザーズ 1988年11月30日 1989年5月31日 ACT ディスクファクスイベントでも青カード専用でもないが任天堂公認でキャンペーンイベントが行われたディスクソフト。 良 メーカーは『リサの妖精伝説』のみコナミで他は全て任天堂。 『パンチアウト!!』のみロムカセット。 シリーズ概要 シャッター付の青ディスクカードで発売されたシリーズで、当該のカードの対象ソフトは同じ青ディスクカードでしか書換ができないものだった。 反対に青ディスクカードで『ゼルダの伝説』など、普通のディスクソフトへの書換は可能だったので青カード自体は上位互換である。 青カードは全国400店舗に設置された「ディスクファクス」を介して任天堂とスコアやセーブデータをやり取りすることが可能で、この機能を利用して1987年2月から1988年5月まで全5回のイベントが行われた(期間は発売から大体2~3ヶ月程度)。 ジャンルとしては主にゴルフとレースゲームで、プレイヤーはスコアなどプレーデータをディスクファクスを通じて任天堂に送り、そのスコアやタイムを任天堂が集計しランキング化し、その順位等に応じて賞品が貰えるというもの。 会場に来場して一発勝負となるハドソンのゲーム大会「全国キャラバン」とは異なり、プレー自体はそれぞれが自分のハードで行う形で、その中でベストを競う形になっており「やり込むほどスコアを伸ばせる」という点でも差別化のされたものだった。 任天堂からは「サービスデータ」を受け取るという形式になっており、その時点での暫定ランキングなど途中経過の発表を中心とし、各プレイヤーのメッセージの開示、次回イベントの予告などがあった。 一大イベントということもあって一部(後述)を除いて看板キャラであるマリオが起用されておりマリオシリーズにも数えられる。 第4弾『中山美穂のトキメキハイスクール』に関してはその中でも異色な存在でマルチエンディングのアドベンチャーとなっており、テレフォンサービスとの併用でゲーム本編とリンクしたメッセージをゲーム中に画面で表示された番号に電話してメッセージを聞くことでストーリーの進行を補填したりヒントになるようなものが聞ける趣向が盛り込まれていた。 そのためサービスデータも途中経過のランキング発表等ではなく、進行状況に応じた中山美穂や登場キャラのメッセージなどが主体で中山美穂本人のレコードリリース等の情報も含まれるなど他と一線を隔したものになっていた。また、この作品のみマリオが一切登場しない(*3)。 第5弾『ファミコングランプリII 3Dホットラリー』を最後に1988年5月31日、このイベントは幕を閉じ直後に発売された『ファミコン探偵倶楽部 消えた後継者 後編』の広告に併載する形で発表された。 この時同時に当該イベントは「ディスクシステムの構想を完成させる実験的な位置付け」で行われていたという意図も公表している(*4)。 その実験という言葉にたがわず21世紀現在は進化したオンライン技術を活かし、これを発展させたような形のゲーム大会などは任天堂に限らず日常的に行われている。 ディスクファクスイベントはまさに、そんな現代のオンラインゲーム大会の昭和版モデルだったと言えるだろう。 イベントが絡んでいることもあって残念ながらこれらの作品は移植などもされていないが、その血は後の作品に脈々と受け継がれている。 『ゴルフJAPANコース』『ゴルフUSコース』は後の『マリオオープンゴルフ』(ファミコンロムカセット 1991年9月20日発売)に繋がり現在も続く『マリオゴルフシリーズ』の原点と呼ばれている。 『ファミコングランプリ』に始まったマリオのカーレースゲームは後の『スーパーマリオカート』(スーパーファミコン 1992年8月27日発売)に繋がり、以後『マリオカートシリーズ』として新ハード毎に新作が発売されている。 イベントを抜きにしてもゲーム自体も任天堂作品らしく非常に良質なものが多く、現在でもレトロゲーム愛好家に好まれているカテゴリの1つでもある。 対象ソフトの説明書には日本全国のディスクファクス設置店舗がズラリと一覧で載せられている(*5)。 あれから長い年月を経た現在では失われた店舗が少なくはなく、今見返してみれば記憶の片隅で忘れかけていた懐かしい店の名前に出会えるかもしれない。 番外的な存在として当該イベントではないが、イベントが終了した1988年6月にコナミから青カード専用ソフトとして発売された『リサの妖精伝説』がある。 『中山美穂のトキメキハイスクール』を踏襲し、ゲーム本編とリンクしたメッセージをテレフォンサービスで配信するという形式が取られている。
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美少女戦士セーラームーンSuperS 真・主役争奪戦 【びしょうじょせんしせーらーむーんすーぱーず しんしゅやくそうだつせん】 ジャンル 対戦格闘アクション 対応機種 プレイステーション メディア CD-ROM 1枚 発売元 エンジェルメガハウス 開発元 キッド 発売日 1996年3月8日 定価 5,800円 プレイ人数 1人~2人 判定 クソゲー ポイント アニメ版への過剰尊重仕様故にあまりにも遅い必殺技ほぼ全要素で隙のないクソさファンアイテムとしても微妙BGMだけ素晴らしい謎の歌い手の正体は……? 美少女戦士セーラームーンシリーズリンク 概要 問題点 CG ゲームシステム ゲームバランス その他の問題点 評価点 総評 その後の展開 余談 概要 当時少女を中心として社会現象に発展した漫画・アニメ『美少女戦士セーラームーン』の格闘ゲーム第3弾。3DO『美少女戦士セーラームーンS』のシステムをベースにしたアレンジ移植かつフルモデルチェンジ作品。 『セラムンS』は技などの一部の要素をSFC『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦』から引き継ぎ、本作はさらに多くの『場外乱闘』の要素を引き継いでいる。そのためどちらとも違った作風となっている。 プレイヤーキャラクターは、スーパーセーラームーンとスーパーセーラーちびムーン、そして内部四戦士と外部四戦士の合計10人。 ドジなムーンの代わりに、誰が主役にふさわしいか勝負で決めるというストーリー。 『セラムン』ゲームシリーズでは初となるプリレンダ3DCG+モーションキャプチャを採用している。 SFC『場外乱闘』は初心者から上級者まで楽しめる大変優れた格闘ゲームとして評価され、キャラゲーとして見てもグラフィックやBGM、迫力ある技演出も悪いものではなかった。 3DO『セラムンS』は格闘ゲームとしての評価は高くないが駄作とする声もそれほどなく、キャラを美しいセル画で描いているといったキャラゲーとして見ればおいしい要素が豊富である。 だが肝心のゲーム内容は格ゲーとして最低最悪の出来であり、キャラゲーとしてもすすめにくい紛う方なきクソゲーである。 問題点 CG パッケージのムーンから独特なオーラが放たれていることから分かるようにCGのクオリティがひどい。 電源をONにすると、いきなりとんでもないムービーを見せつけてくる。 冒頭でムーン達がイバラに囚われているが、このシーンのムーン達が不気味極まりない。マネキンにしか見えず、得体の知れない不安感に襲われる。 笑顔のはずなのに無機質で、ハッキリいって全然美少女に見えない。これではキショう女である。 タキシード仮面のアップは一瞬だけだが、その一瞬でヤバさを理解できてしまう。 OPムービーはかっこよさを演出する意図は理解できるが、完全に技術が追いついていない。 『セラムンS』のムービーの技術も低かったが、あちらは一部をアニメにしていたり、戦士達の必殺技演出の評判は悪いものではない。 ゲーム中はプリレンダモーションキャプチャーのセーラー戦士達が動く。こちらも全く可愛らしく見えない。はっきり言って気持ち悪い。 画面に比べて小さく描かれており、その分顔面崩壊している。 さらに動き方がカクカクしているのにクネクネしている奇跡のグラフィックとなっている。まるで操り人形である。 特にジュピターに至ってはモーションの出来が悲しいほど酷く、ウラヌスに至っては何処ぞの裸芸人を彷彿とさせる動きである。 勝利時はもちろん、敗北時にもポーズを取るのだが、本来なら可愛いポーズなのに微塵も可愛くない。 初回限定生産版はピクチャーレーベル。ムーンのCGが描かれている。だが全く嬉しくない。 通常版は戦士達の星の記号が描かれている。こちらの方が可愛い。 何故こうなったかと言うと「当初は3DO版と同様のセル画にする予定だったが、お偉いさんが『流行りのCGにしよう』と提案したから」らしい。なんという失言をしてくれたんだ……。 同年に同じコンセプトで発売されたPS挌ゲーの『あすか120%スペシャル BURNING Fest』はまともな美少女であるため、本作の美少女達がいかに酷いかよく分かる。 ゲームシステム キャンセルシステムがない。華麗なキャンセルコンボは不可能。 あるにはあるが、連打キャンセル、バックステップ中に必殺技でキャンセル、小技を空振りキャンセルしての投げのみ。 連打キャンセルの仕様がおかしい。 連発中の技で固定される。例えば近距離用パンチで始動すると、遠距離になっても近距離用のパンチしか出せない。 もちろんパンチからキックに変更することも出来ない。 当然立ち技としゃがみ技の変更も出来ない。 回り込まれても振り向かない。隙だらけ。 遠く離れた後ろにいる相手を攻撃しようと、近距離技を絶え間なく繰り出す姿はシュールである。 ジャンプ攻撃のヒット、ガード問わず、自分が跳ね返ってしまい、飛び込みコンボが不可能。 着地ギリギリで当てれば跳ね返らずに済むが、着地のモーションが完了してニュートラルポーズに移行しなければ一切の行動が出来ないので、結局飛び込みコンボはどう頑張っても不可能。 ジャンプが組み込まれている必殺技は着地時の隙がほぼ無い(皆無?)が、それらの必殺技から追撃することは出来ない。 ジャンプ状態になる必殺技を連続ガードされると(?)、跳ね返りがかなり遅くなる現象がある。 滞空中に攻撃を受けると問答無用でダウンしてしまうため、起き攻めの起点にされると辛い。うかつなジャンプは自滅行為に等しい。 しゃがもうとするとモーションを完了させなければ何も行動出来なくなる。 このせいでしゃがみ技が使いにくい。回避できる立ち技が少なくないことを考慮しても、通常技の差し合い、つまり地上戦に向いているとは言い難い。 利用価値があるしゃがみ技は、スライディングを潰すための小足、一部の対空用大P、ダウンさせられる大足くらい。 しゃがみモーション自体が遅いという追い打ちもある。 しゃがみ状態から立ち上がる時にも、操作を受け付けない隙が出来る。 相手が空中にいると、立大Pと屈大Pが勝手に対空用の技に変化する。 便利だと思うかもしれないが、本作の対空技は信用しにくく、変化前の大Pの方を使いたい時は少なくない。 ジャンプ直後に技を出せない。判定が広いヴィーナスのPでさえ地上の相手に当たらない。挌ゲーのテクニック「しゃがみガードで強固な守備を維持する相手の守りを崩せる昇り技」は出来ない。 振り向きモーションを完了するまでの間は何一つ行動出来ない。 他のゲームよりも明らかにモーションが遅い。キャラによっては目測15フレームはある。 後ろから攻撃されてダウンし、ダウン中に相手が正面に回ってきた場合、起き上がり後に相手が正面にいるにもかかわらず後ろに振り向き、やっぱり誰もいないので再び振り向くというマヌケかつ隙だらけな姿を見せつけてくる。 食らいモーションの終了直前に謎の無敵状態がある。 連打キャンセルはきちんとコンボになる。 ヒットやガードの硬直中にも投げられ判定がある。つまり小から投げを「ガードも回避も不能の連続攻撃」に出来る。 投げを完全なるコンボのパーツとして組み込めるゲームは珍しい。 相手を投げ飛ばす方向を選べない。 全キャラ共通で投げコマンドが前進方向+大Pになっているせい。後退方向や大Kでも投げられたら良かったのだが。 自分の飛び道具が残っている間は飛び道具を撃てないのは格ゲーでは普通のことだが、本作は飛び道具以外の必殺技も発動出来なくなってしまう不思議なシステムがある。 ダウンから起き上がる時、ニュートラルポーズになるまでは、小技などの一部の技に対してガード出来ない無防備な状態になっている。 ニュートラルポーズを経由する必要があるので、直接しゃがみやジャンプをすることは絶対に出来ない。ゆえに下段ガードやジャンプ回避が出来ない。 ガードの仕組みが摩訶不思議で混乱をさけられない。 ガードに移行する引き金となった技の動作が終了しなければ、ガードを解除することができない。 相手がなにかの技を出す→ガード状態になる→ガードもしくは空振りする→技の動作が終わっていない→ガード状態のまま動けない→技の動作が終わったと同時にガードが解ける。 逆に攻撃判定が残っていても相手の動作が終了していればガードが解ける。要するにガード不能技がある。 ガード開始から一定時間経過で一瞬ガードが解除される。しかも「ガード不可能になっているのであって、ガード動作自体を解除したわけではないから、ガード動作を完全解除して自由に動くことは出来ない」状態である。そのため出が遅い技の開始時にガードすると、何ひとつ行動できずに、攻撃判定出現の瞬間にガードが解けて喰らってしまう。ガード成功でガード能力有りの時間が延長されることもないので、小連打キャンセルをガード出来ずに喰らいまくる。 各技にはガード移行可能な間合いが設定されている。ガード移行可能距離より、攻撃判定のリーチの方が長いとガード出来ずに喰らってしまう。 攻撃判定出現がとても早い技を接近した状態で使われるとガードモーションへの移行が間に合わず、なすすべもなく喰らってしまう。 全キャラのほとんどの技が上記の「技動作終了でガード不能」、「技開始時にガードで途中解除」、「遠距離で技開始でガード移行不可能」、「近接でガードが間に合わない」の性質を持っている。 立ちガード状態だとしゃがみガードへの変更が不可能。逆も言える。 相手に背を向けている時のガードの成否は、また別なものとなっている。 ガードの入力は「相手の反対方向にキー入力」ではなく「自キャラの向きと反対方向にキー入力」である。 下段判定になっている技が非常に少なく、足払いですら立ちガードできてしまう。 どうやらキャラによって上段と下段の食らい判定が異なっているようだ。 必殺技コマンドの説明が「右向き時の場合」であるのは他のゲームも同じだが、本作は「本当に右向き時の場合の入力」である。 他のゲームは「キャラの向き」は無関係で、実際は「相手キャラの位置より左にいる場合であって、キャラの向きが左右どちらでも何の関係もない」である。本作は正真正銘「キャラが右を向いている」となっている。 一歩進むという歩行モーションを完了するたびに一瞬立ち止まる。そのせいで歩行動作中の速度と比べて、実際の移動速度が遅く、クネクネしたキャラグラフィックにカクカクが追加される弊害にも。 歩く動作を完了させなければ立ち止まらないかも、と期待してもムダで、小刻みに動いても一瞬立ち止まってしまう。 どういうつもりか、ほとんどのキャラが前進より後退のほうが速いミステリー仕様。 ここまでで悟った人もいるだろうが、モーションが完全に終わるまでは操作不能になるものばかり=動きがもっさりしていて、操作性もゲームテンポも非常に悪い。 ACSの項目が、攻撃がパンチとキックに細分化、投げ技が追加されて合計8つ。持ちポイントは難易度により15~30に変化(対戦モード時は30で固定)し、15まで割り振れるようになった。しかし1ポイントごとの強化は大したことがなく、ポイント配分のバランスも悪い。 『場外乱闘』では合計6つ、1ポイントごとに約1.08倍に強化、最高で5ポイント、持ちポイントは10~20となっている。むだに種類が増え、相対的にポイントが減少したのに、効果が薄くなっている。 説明書ではパンチ、キック、投げ技が「攻撃力を高くします」と全く同じの投げやりな説明文となっている。 ゲームバランス 飛び道具系必殺技の出が遅すぎる。発射に数秒かかる。 「ボイスに合わせた、アニメを見ているかのような丁寧な演出」と言えば聞こえはいいが、テンポ感が重視される格闘ゲームにおいてがテンポを阻害するだけの要素でしかない。 大で発動するとさらに隙が酷くなる。だが大でないとダウンさせられないものもあり、小で撃つ価値がなければ大で撃つしかない。そこまでするほど大に価値があるかは疑問だが……。 弾の判定や軌道に個性があるが、それを利用した戦術を考える余地のないほど隙がある。 実は弾だけでなく、体(にまとったエネルギーやかざした武器)自体にも攻撃判定がある。弾の発射前後でも命中させられる。一部は連続ヒットもさせられる。しかしそれで隙を補えているかと聞かれると……。 しゃがんだだけであっさり回避できたりするほど簡単にガードや回避が出来るが、操作性が悪いので甘くみているとガードや回避に失敗することもある。 アニメでは必殺技が遅い設定は無い。そうでなければ敵の攻撃がすんでのことで命中する時に必殺技を開始してギリギリ間に合う説明がつかない。 超必殺技は通常の飛び道具よりも隙がある。キャラの組み合わせによっては、画面端で発動させたのに、画面端にいる相手が接近してきて、何もできずに超必殺技をつぶされてしまうほどである。使い物にならない。 そのかわりに威力が高い。それもACSの力を借りずとも約半分の体力を奪ってしまう壊れた威力である。 ガードさせればいい方だが、削り量はかなり少ない。 ガードの仕組みが特殊なので、近すぎていたり、逆に遠すぎるとガード出来ずに直撃する。 超必殺技は飛び道具ばかりで面白みに欠ける。 飛び道具属性ではない体術の必殺技もあるが、多くは飛び道具よりはマシ程度の性能。 全体的に通常技のリーチが短い。武器を持ったプルートとサターンですら何の冗談かと疑うほど短い。 ヴィーナスの遠立大Pはチェーンによる攻撃でリーチがトップクラスなのだが、そんな技でも画面全体で考えると短いとしか言えない。 しゃがみ技は立ち技よりもリーチが短いものが多く、しゃがみ動作が完了するまで行動不能になるのも相まって、大足等の一部の技しか使い道が無い。 対空技の判定が真上にしかないものが多く、少し遠くからの飛び込み技を迎撃出来ないことがしょっちゅうある。 「相手が空中にいると勝手に変化する大P」の中には真横にしか判定がないものがある。対空として活用出来ない対空技とは何なのか。 空中戦の意義が薄い。 空中技は小なら動作が素早いが攻撃がすぐに終わって威力が低く、大なら持続が長くて威力が高いが動作が遅い。ここまでは妥当な設定だが、飛び込みコンボが不可能であっては空中被ダメ→ダウン→起き攻めによるハメの危険を無視出来るほどの利点は少ないとしかいえず、飛び道具等の隙を突いて一発当てる、という使い方しか望めない。 いくら対空技が使いにくくとも、飛び込みコンボを警戒する必要は無い。あえて攻撃せずに飛び込んでガードを固めた相手を投げるいわゆる空ジャンプ戦法も「着地モーション完了まで身動き出来ない」という仕様によって役立たず。他のゲームでは基本の「地上の対空技が弱ければ、空中技で迎撃すればいい」は、ジャンプ直後に技を出せないシステムの本作には当てはまらない。よって確実に迎撃できる状況でなければガードで安定してしまう。 J技が終了したら再び技を出せるシステムだが、それを活かせる状況はまずない。 前述で軽く触れていたが、モーションが終了するまでの間は移動も技もガードもできない無防備な状態になっているものだらけ。そして起き上がり時にガード不可能な技の中には転倒効果付きのものがある。つまり起き上がりに転ばせる技を重ねるだけで、脱出不可能な、完全なるハメが成立する。そしてハメ技は全キャラが持っている。 格闘ゲーム界の『デスクリムゾン』と呼ばれる有名クソゲー『THE MASTERS FIGHTER』でも採用されているが、本作のほうが先取りしている。 あちらはタイミングがシビアなのだが、本作は「振り向き動作が完了するまでに攻撃を食らった場合は、振り向く前の方向に戻された上に振り向き動作をはじめからやり直さなければいけない」システムなので、一部のキャラのハメはとっても簡単にできる。 理論上は「振り向き動作中の完全無防備な瞬間に大足を当てる」でどのキャラでも大足ハメが成立するが、振り向き開始と同時に大足を開始して、振り向き終了より先に大足を当てるのは困難か不可能。 無抵抗の相手を延々と、いや、永遠にハメられるのは格闘ゲームとしてバランスが壊れていると言わざるをえない。 「全員がハメ技持ちなら、不利な相手でも終わらずに済むから、逆にバランスがとれている」と考えることもでき、実際に『サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣』がそのバランスであるとされているが、本作では通用しない。何故なら通常技のけん制力に欠け、情けない性能の必殺技しかなく、移動能力も起き上がり速度もダメなちびムーンがあまりにも弱いからである。 セーラー戦士達の特徴及び問題点 + 長いので折り畳んでいます 月野うさぎ(スーパーセーラームーン) 通常技が使いやすく、起き上がりが早い。「ムーン・ティアラ・アクション」は飛び道具としては高性能だが役立つかは何とも言えない。「ムーン・スパイラル・ハート・アタック」は存在意義が不明なほど隙だらけ。「お願い!銀水晶!!」は飛び道具属性の対空かつ無敵技だが、横への判定が狭すぎる。超必殺技の「ムーン・ゴージャス・メディテイション」は驚愕の隙がある代わりに威力が高くて謎の無敵時間を持つ。 ハメ技は大足。ただし通常はヴィーナスにしか通用しない。しかし画面端を背にして、投げで相手を画面端に飛ばして、後方から大足で全キャラをハメられる。そのかわりガード不可能及び大足が連続で当たって二段目がガード不可能になる間合いはシビアで、大足の先端がギリギリ当たるようにする必要がある。 ちびうさ(スーパーセーラーちびムーン) 最弱キャラ。通常技の判定が狭すぎて差し合いが非常に不利で、長所の食らい判定の狭さのみではいかんともしがたい。他のゲームのチビキャラと違って移動性能も劣悪。起き上がりが遅いのも厳しい。「ピンクシュガー・ハート・アタック」も「ルナPアタック」も意味不明性能。空中必殺技の「スウィンギング・マシュマロ」は空中技で跳ね返るシステムと空中で静止して「スウィンギング」とゆっくり言い終えてから攻撃する物理法則無視かつ無駄な演出のせいで使わない方がまだマシなレベル。超必殺技の「トゥインクル・エール」は高威力+ガード不能+追尾性能だが、相手が前進したり、早めにバックステップするとガードか回避され、発動の遅さを狙われる危険もある。小足を連発された瞬間に、何も出来ずに敗色濃厚という凄まじいキャラ。 ハメ技である大足がスライディングなのでこれさえ当たってくれれば勝ち目を見いだせるかもしれない。だが、相手にめり込んで左右の位置が入れ替わり、しゃがみ状態での振り向きの遅さとスライディングのリーチの問題でハメられなかったり、それを回避するための「しゃがみから立ち動作→振り向き動作→しゃがみ動作」も遅かったり、正面からでも歩行の遅さで起き攻めが間に合わなかったり、そもそも小足連発の壁に大足を阻まれたり……。なおサターンには不安定(フレーム単位で上段と下段が変化するのか、他に条件があるのかは不明。)で、ちびムーンとプルートに対しては大足ハメが効かないが、ちびムーンには近小K→投げハメが有効。 水野亜美(セーラーマーキュリー) 全体的に小のリーチが短く、けん制は大振りな大がメインになるが、大足は判定も動作も優れている。移動と起き上がり速度も優秀。シャボン・スプレーは使い道があるか怪しい。「シャイン・アクア・イリュージョン」は判定の広さとダウン性質があるが、隙が大きい。「リバース・ブレイク・ステップ」は移動技かつ接近して出せばガード不能というネタがあるが魅せ技の域を出ない。「マーキュリー・アクア・ラプソディー」は使えない超必殺技。 画面端に追い詰めて小イリュージョンの発動及び発射直後を当てるのがハメ技で、全キャラに有効。威力が高いのでハメ殺すまでに時間はかからないが、何回もタイミングよく発動するのは難しいか。 火野レイ(セーラーマーズ) 通常技のリーチが長く、JPはお札を投げる技なのでリーチがある。起き上がり速度に問題あり。必殺技は全てダウン効果を持つ。「ファイヤー・ソウル」はしゃがみで回避されるのが辛い。弾を何発も撃つ「バーニング・マンダラー」は発射さえ出来れば強い。「ファイヤー・ヒール・ドロップ」は隙が少なくてダウンを奪える、使い所がある貴重な必殺技のひとつ。「マーズ・フレイム・スナイパー」は判定が狭く、ちびムーン相手だと立っていても回避されておしまいという超必殺技。 画面端を背にして、逆に相手を端に投げ飛ばして、後ろから大足ハメできる。ガードされない間合い調節はムーンよりは易しい。また正面からでも、遠距離から(?)大足の二回目の判定(連続ヒットではなく、二回目に発生する攻撃判定。)を当てれば全キャラ(?)をハメられる。 木野まこと(セーラージュピター) 攻撃力が高く、投げの隙が小さくて起き攻めしやすく、起き上がりが早い。反面通常技が遅いものが多い。「シュープリーム・サンダー」と「スパークリング・ワイド・プレッシャー」はダウン性質を考慮しても使えない。「ジュピター・ダブル・アクセル」は移動かつ対空技だが活躍するかは不明。「ジュピター・オーク・エボリューション」は上下左右に弾を撃つが低威力で、バックステップであっけなく回避される悲しい超必殺技。 画面端に追い詰めて近小P(ちびムーンにはK)→投げでハメられる。ただしサターンには通用しないあるいは困難。大足がギリギリ届く間合いからなら全キャラに対して大足ハメ可能? 愛野美奈子(セーラーヴィーナス) 通常技の使い勝手は良くないが、遠立大PとJPのチェーンの判定がトップクラスの強さで、大足の性能も良好。対空屈大Pは攻撃判定が設定されていないと思われる(!)。起き上がりが遅い。全キャラでハメ耐性がワースト1なのが難点。「クレッセント・ビーム」はどこで使うべきか不明。「ヴィーナス・ラブ・ミー・チェーン」は飛び道具属性で無敵付きの対空技だが、横への判定はほとんど無い。「ヴィーナス・ウィンク・チェーン・ソード」は飛び道具性質で出が遅いが、後半の波動がガード不能。「ヴィーナス・ラブ・アンド・ビューティ・ショック」はごく普通の無用な超必殺技。 ムーン、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナス、ウラヌスに対して正面から大足ハメが可能。ちびムーンは近小K→投げでハメられる(ネプチューンはムリか激ムズ。)。起き上がりに小ソード→チェーンをガード→ガード不能の波動が連続ヒットしながらヴィーナスに近づく→大足→小ソード~、のハメは不安定もしくは不可能。 冥王せつな(セーラープルート) どういう訳か武器の「ガーネット・ロッド」を使ったP技の多くがリーチが短い。対空立・屈大Pが横にしか判定が無くて理解に苦しむ。移動速度が速く、起き上がりが早い。サターンに次ぐハメられにくさを持つ。「デッド・スクリーム」はしゃがみで回避されない分、他の飛び道具より恵まれている部類か。「アクション・スピンスター」の使い道は特に無い。超必殺技の「クロノス・タイフーン」は上下判定が広いので、発動さえすれば高性能だが……。 プルートとサターン以外に近小K→投げハメ可能で、難易度が低くてやりやすい。 海王みちる(セーラーネプチューン) 技のリーチが短いものの動作の早さは優秀で、特に大足の早さはトップ。通常技と違って、起き上がり動作は長い。「ディープ・サブマージ」は見た目より判定が狭い役立たず飛び道具で、たったちびムーンに当たらずに接近され、大足でハメられてしまう。「スプラッシュ・エッジ」は一瞬無敵になる対空技で使い道のある必殺技だが、攻撃中にもかかわらず地上技で叩き落されてハメられる危険が常に付きまとう。「サブマリン・リフレクション」は弾の出現から発射までに無駄に時間がかかる、どうでもいいただの超必殺技。 後ろに投げて画面端に追い詰めて、背後から大足ハメできる。難易度はマーズと同程度。さらにマーズと同じ理由なのかは不明だが、正面からでも全キャラに対して大足ハメが成立する可能性がある。 天王はるか(セーラーウラヌス) 最強キャラ。通常技のリーチも動作も優秀。大足のスライディングはちびムーンと同じく上段下段の判定が安定しないが、ちびムーンより高性能。攻撃力が高い。移動が素早い。投げの隙が小さく、大足ハメや投げハメに移行できるほど投げ飛ばし距離が短く、相手は背を向けるのでハメ維持も簡単。弱点は起き上がりが遅く、ヴィーナスに次ぐハメ耐性の無さくらい。「ワールド・シェイキング」は存在理由皆無の飛び道具。「ウラヌス・ワールド・アタック」は判定が広い、長い移動距離、高威力、ガードされても多段ヒットで削れる、隙が小さい、大でダウン、反撃されても地上食らい判定になりやすい、一方的に負けることが少なくて大体相打ちになる、変なガードシステムのおかげで空振りしても強制ガード+ガード不能の高性能技。一方的に負けてダウンすることもあるので下手したらハメ殺されるが……。「スペース・ソード・ブラスター」は超低性能な超必殺技で、遠近問わずガード不能効果が全く無くて使ったら後悔する。 ムーン、マーキュリー、ジュピター、ヴィーナス、ウラヌスに対して大足ハメが有効。ちびムーンには近小K→投げのハメが有効で、マーズ、プルート、ネプチューンにもギリギリでハメられる。 土萠ほたる(セーラーサターン) 武器のサイレンス・グレイブの存在感が全く無いリーチの短いP技の数々。遠小Pが距離によっては攻撃判定出現時間の長さから2ヒットするが、だからなんだというレベルである。近立大Kはハイキックからの回し蹴りの二段だが、ちびムーン以外には食らいモーション終了直前の無敵のせいで必ず二段目が空振りして反撃確定になる体たらく。移動が遅ければ、起き上がりも遅い。ガード動作時と違って、食らい動作時に投げられ判定が無いか狭すぎる可能性があり、そのおかげで投げハメを回避できる。「デス・リボーン・レボリューション」は飛び道具性質だが弾を発射せず、さらには体の攻撃判定が狭すぎて、相手が密着して技を出してくれて食らい判定を広げて貰わないと絶対に当たらない。「サイレンス・ウォール」は一定時間自分の周囲に飛び道具性質のバリアを張り、上手くやればバリアからの地上技がコンボになる。しかしマーキュリーの大足などのリーチが長い技で一方的に攻撃されてしまう。必殺技に発射系飛び道具を持たない代わりか「サイレンス・グレイブ・サプライズ」は超必殺技の中でトップの発射速度を持つので、何とか当たるチャンスが見つかるかもしれない。 画面端に追い詰めて小レボリューションでハメが可能。マーキュリーの小イリュージョンハメと同じくタイミングを合わせるのは難しくて、相手によっては成立しない?その場合でも、画面端に追い詰めて投げたあと、後ろから大足あるいは近小Pからの投げあるいは小レボリューションで全キャラをハメてしまえる。ただし難易度は高いほうか。 「ウラヌス>他のキャラ(あえて言えばウラヌスに唯一ハメられず、逆にハメてしまえるサターンが準強キャラ)>ちびムーン」と言えば悪い印象はないかもしれないが、キャラ格差は小さくない。 結局本作は「劣悪な操作性に苦しみ、必殺技はほとんど使わず、超必殺技での一発逆転を望むことすら叶わず、危険な空中技は極力控え、不安定なガードにおびえながら、使いにくい通常技の中から限られたマシな性能の技で地味な地上戦をして、どちらかがダウンしたらハメに入って、さっきまでの地道な差し合いがどこ吹く風の一方的で単調で退屈な展開になる」に集約される。 CPUは起き上がりに大足を絶対にガードしない。簡単にハメ殺せてしまう。 通常の攻略ではもちろん、リアルタイムアタックを目指す時にも重要となる。だが終始代わり映えしない単調なプレイで、ネタプレイにすらならない。 CPUは基本的に弱いが、一部の思考が凶悪。 意味なく技を空振りしまくるのだが、接近してこちらが何か技を出そうとすると有無を言わさず投げてくる。 プルートは平然と投げハメをしてくる。 一部のキャラの思考は共通しているようで、延々と大足を繰り返すシュールなパターンが用意されている。 大足連発の優先順位は高くないので、こちらから手を出せばすぐに解除するのだが、油断するとちびムーンのスライディングでハメ殺される。 説明書には難易度によってCPUの強さが変わると書かれているが、難易度を変えてもCPUの強さが全然変化しない。 難易度による変化は、ACSの持ちポイントのみとなっている。 ACSで設定するハンデとなるおちゃめの効果がハンデになりすぎている。 15まで上げると発動確率が尋常ではなくなり、発動タイミングが「ジャンプの着地直後に再びジャンプしないでいる」「歩行しようとした瞬間」というように『場外乱闘』よりも増えている。何とニュートラルだと時間経過でも発動してしまう。 おちゃめポーズに攻撃判定があるが頼りになるはずもなく、プレイヤーの腕にあまりにも実力差がなければ勝負にならない程のハンデ。 しゃがみ状態を維持すればおちゃめが起きないので、強力なスライディングが出来るウラヌスなら勝算がある。 その他の問題点 説明書周りの不備 説明書の技コマンド表はおろか操作方法解説ページにさえガード方法を記述していない。 超必殺技の使用可能条件を説明していない。 格闘ゲームで技等を隠すのはよくあることだが、コマンド表に超必殺技を載せているので、格闘ゲームになじみがない少女は初見では困惑するかも。 説明書の技コマンド表に「オートモードではパンチボタンで発動」と書いてあるが、キックボタンでも発動する。 説明書のマーキュリーのリバース・ブレイク・ステップのコマンドが間違っている。 説明書のキャラ紹介でプルートだけ守護星の解説が抜け落ちている。 説明書のストーリー紹介でいきなりちびうさを「チビうさ」と間違えていたり、説明書の各キャラの声優紹介で、アルテミスが「アルテミナス」になっていたりと誤植が多い。もはやナメてるとしか思えない。 ロードが数秒間もかかる長さな上に頻繁に行われる。 例えば電源ONからオプション設定し、タイトル画面に戻る一連の動作で、OPムービー→読み込み→タイトル画面→オプション→読み込み→戻る→読み込み→タイトル画面、ということになる。 バトルの前後の読み込みも頻繁。試合前のボイス→読み込み→試合終了→読み込み→勝敗ボイス→読み込み→試合前のボイス、こんな感じになっている。 ロード中はルナPが表示される。BGMが一切流れない無音、黒い背景、濃い陰影+生気のない瞳でこちらを見つめる無表情のルナPが数秒間も映し出されるのは軽いホラーである。 練習モードで、2P側のコントローラでポーズしても2Pキャラの必殺技コマンド表を確認出来ない。 『場外乱闘』ではきちんと確認できたのだが……。 ストーリーモードで外部戦士が使用出来ない。 『場外乱闘』と同じく、後半に外部戦士達が飛び入り参加する展開上仕方ないことではある。 ウラヌスが「主役のポジションに興味がある」と発言する。なら使わせてよ、と思う人は多いだろう。 対戦モードなら、対人でも対CPUでも外部戦士を使用できる。当然練習モードでも使用可能。 ラスボスは星ひとつ破壊する力を秘めたサターンではなく、ウラヌスである。 『場外乱闘』でも外部三戦士のリーダー格のウラヌスがラスボスであったが、サターンを差し置いてまでラスボスにするべきなのか? ムービーの内部と外部の戦士たちの必殺技演出ではサターンがトリだが……。 ACSで強化した能力を、キャライラストの頭上にある、赤色の四角い物体の長短で表しているのだが、ただでさえ伸びた部分が何の項目と対応しているか一切説明されていないのに、ムダにグルングルン3D回転していて訳が分からない。 カメラワークが遅く、キャラの動きに反応しにくい。 ステージの中央で戦っているのに、ステージの端をずっと映しつづける光景は珍しくない。 ボイス面の問題 気が抜けるもしくは動作と合わないほど熱のこもったボイスが多い。 「ホイッ!」、「たぁ~」、「わーい(棒読み)」といったやる気が感じられないボイスで全身脱力してしまう。大げさな断末魔や『北斗の拳』のように叫びながらちょびっとだけしか動かないウラヌスのスライディングボイスは失笑モノである。 試合前後のボイスは、無意味に小声なものが多い。 特に外部戦士はボソボソ喋ることが多く、聞き取るにはテレビの音量を上げなければいけない。 ボイスをスキップできない。 第二ラウンド以降もタキシード仮面たち審判の試合開始のボイスが流れるほどボイスが頻繁にある上に、長いセリフだらけになっている。 キャラクター同士が密着状態になっている時のおかしな挙動 密着状態で前進し続けるとキャラがめり込んで急に左右の位置が入れ替わる現象が起きる。 密着してお互いに前進すると、キャラの歩行速度に関係なく1Pキャラが2Pキャラをグイグイと押し込んでいく。 相手がしゃがんでいると、密着して前進してもお互いに位置が全く変わらない。 画-面端付近で密着していると画面中央側のキャラが何故か前方ジャンプ出来ない。 投げによるKOで負けポーズをとらないバグがある。 確認できているのは、マーキュリー、ネプチューンの投げでムーンをKO。ジュピター、ネプチューンの投げでちびムーンをKO。 キャライラストの画力が今一つ。 キャライラストのムーンの顔が離れ目になっていたり、ムーンとマーズの怒り顔が無表情時との変化に乏しく不自然に見えたり、勝利イラストの向きが1P2Pとも同じ向きになるバグや、勝利ボイスとイラストが噛み合っていないなどの不整合もある。 ステージセレクトが不便。画面上部に各ステージが表示されているが、そこに何を選択しているかのカーソルは表示されず、現在選択中のステージは画面中央に表示される。 これの何が不便かというと、画面中央を見て選択中のステージを確認してから、画面上部の各ステージの位置関係を確認しないと、満足にステージ選択することができない。 なおステージ選択の初期位置は一番左上にあるウラヌスステージ。普通は主人公のステージが初期位置だが……。 評価点 見た目と実際の攻撃、食らい、投げられ、存在判定の差がほとんど無い。モーションに合わせて、驚くほど細かく設定されている。 だからこそ問題のあるキャラと技が存在するのだが、大幅な差があるゲームよりは良心的。 必殺技と超必殺技の簡易コマンドがある。 だが必殺技に依存しない戦いが求められる本作では少し嬉しい程度に留まる。 マーキュリーやサターンでハメをするつもりなら大変ありがたい。 キャラのセリフは面白く出来上がっていて、ボイスも引き分け試合やコンティニュー時間カウントをはじめとして豊富に用意されている。 ジュピターの決めゼリフ「しびれるくらい、後悔させるよ!」が聴けるレアな作品である。 アニメ『S』では、デス・バスターズ幹部ウィッチーズ5のシプリン プチロル戦の時のたった一回しか言わなかった。 他の内部戦士と同じく一般公募から選ばれた決めゼリフだが、他の戦士は何回も言っている。 必殺技の演出は上出来で、効果音もアニメを忠実に再現している。超必殺技は背景も凝ったものに変化し、十分に評価できる水準に達している。オリジナルの体術もそれなりにさまになっている。 サターンの「デス・リボーン・レボリューション」と「サイレンス・グレイブ・サプライズ」の立ち位置が逆転しているが、これはサターンのバトルポジションが特殊すぎて原作・アニメ・他のゲームで必殺技の描き方が見事にバラバラなので仕方ないところか。 サターンは戦闘の最終手段となりうる技を持つ設定からか戦闘描写が少ない。原作はデス・バスターズ編のラスボス戦から参戦して世界を滅ぼしてしまうレボリューションを使用し、次のデッド・ムーン編で通常の攻撃技としてサプライズを使用。アニメは『S』(デスバスターズ編)のラスボス戦で参戦したが詳しい戦闘描写はなく、本作発売の翌日から放送開始した『セーラースターズ』前半の「ネヘレニア復活編」のラスボス戦で「レボリューションの効果で、サプライズの名称の必殺技」を使用した。 なお防御技の名称は原作と同じく「サイレンス・ウォール」だが、後にアニメで使用した時は「サイレント・ウォール」に名称変更されている。 「ムーンが幻の銀水晶を発動しているのに死亡しないのはおかしい」という声があるが、銀水晶の設定は原作とアニメで違っていて、死亡には条件があるので不自然ではない。 クリア後にキャラに応じてタイトル画面の題名、シルエット、星、スティック、ボイスが変化する。こだわりの演出は素直に嬉しいところ。 『美少女戦士セーラーマーズSuperS』のボイス「おねがぁい」は可愛らしくて色気がある。 BGMの出来は素晴らしい。世界観に溶け込んでいる。 ムービー中に流れる、アニメでおなじみのOPソング『ムーンライト伝説』もアレンジされていて、ムービーをスキップせずに聴いているだけでも十分『セラムン』を楽しめる。 総評 結論とすれば「流行りに乗ればいい」というモノではない。ゲーム面で見れば適当に作ったとしか考えられないシステムとバランス、長くて頻繁なロードといった、格ゲーというかゲームとしてダメな部分が散見され、キャラゲーとしてみれば3DO版のセル画表現をわざわざ捨ててまで3Dに走った結果、奇妙なグラフィックとムービーがプレイヤーを萎えさせる。 到底クソゲーとしか言い表せない出来に終始しているのでは、通常のセラムンファンにも一般的な格ゲーファンにも到底受け入れられないだろう。 当たり前の話だが、どんなに豪華な素材であっても有りと有らゆる部分と技術が整わなければ駄目なものは駄目である。 その後の展開 本作発売から3週間後にスーパーファミコンで『場外乱闘』のマイナーチェンジ作『美少女戦士セーラームーンSuperS 全員参加!!主役争奪戦』が発売された。軽視できない問題点こそあれど駄作ではないので、サターンを操作したい人はこちらをオススメする。 本作発売から6ヶ月後、セガサターンで本作のマイナーチェンジ移植作の『美少女戦士セーラームーン SuperS - Various Emotion』が発売された。 購入者特典として、本作で使用されたOVAのセル画が抽選で当たるキャンペーンが開催された。 ゲームシステムに変更があり、フロントステップ追加、ガード方法が方向キー入力式からボタン式に変更、キャラの動作が全体的に速くなった、ジャンプ技を当てても跳ね返らなくなった、KO時のスローモーションがなくなった等の変更により、展開がややスピーディー化して格闘ゲームとしての爽快感は多少なれど上がっている。外部戦士に新技追加、必殺技の性能変化などもある。また、ちびムーンのサイズが異常にデカくなり、キャラセレクト時のイラストもPS版のものから長さだけ伸ばしたので、違和感を禁じ得ない。 システム自体にテコ入れが加わった一方で、ゲームバランスがPS版よりさらに悪化している点もあり、超必殺技の攻撃判定の拡大+威力がACS無補正でも即死させるほどに強化+発生時に時間停止が追加されて極悪非道技と化した。相変わらず完全ハメも存在する。 演出面では、テキストのみでボイスが無かった部分がアニメーションになった、一部のキャライラストの描き直し、キャラ選択画面等の背景とBGMの変更、ステージの一新、試合前後のイラストでボイスに合わせて表情が変わるといった演出の強化が行われた。最大の評価点はオマケモードでテレビアニメでは存在しなかったサターンの変身シーンが見られるところ(*1)(*2)。 逆に劣化した点は、ムービーの画質が劣化、試合中のボイスの音質の劣化、ロード画面のルナPの削除など。『セラムンS』と同様にクリア後に裏技コマンドが表示され、画面の構図も同じだが、本作ではボイスがなくなっている。またロードの長さと頻度の問題は未解決である。 余談 『セーラームーン』の格ゲー化について、「少女漫画を格ゲーにするの?」「仲間同士で戦うの?」「脇役達は主役になりたがるようなキャラ設定なの?」「女の子に需要があるの?」というツッコミがされることがあるが、それには発売当時の時代背景が影響している。 本作発売当時の90年代は『ストリートファイターII』を発端として格ゲーが社会現象になっていた時代であり(*3)、バトル要素がある作品は格ゲー化されまくっていた。セーラームーンが格ゲー化されたのもある意味必然であり、この作品以前にもベルトスクロールアクションなどが作られている。 本作のムービーで主題歌の「ムーンライト伝説」が流れるのだが別人によるカバーであり、「原作者の武内直子氏が歌っている」説がある。 原作者ではない別人説もあるが、どちらにしても確証がないため、真相は藪の中である(*4)。 エンディングのスタッフロールでは歌手名のみ「?」と表記されている。なおSS版では歌手の欄そのものが記載されていない。 ゲームに限らず「一人ずつ登場する演出」は仲間入りした順であるのが普通だが、ムービーではマーキュリーよりマーズが先に登場している。ただしこれは本作に限った話ではなく、作品を見ていればマーズが目立つ理由は何となく分かるだろう(*5)。 外部戦士はプルートが最も早く登場したがレギュラー化は遅くて、ウラヌスがサターンを除いた外部三戦士のリーダーポジションで出番も多かった。 ムービーを制作したのは漫画家の岸虎次郎氏で、本人がtwitterで当時の状況を語っている。 『セーラームーン』シリーズのCGムービーとしては、後年にリメイク版アニメ『美少女戦士セーラームーンCrystal』にて変身バンクに採用され、さらにユニバーサル・スタジオ・ジャパンの立体映像シアター『ザ・ミラクル4-D』として製作されている。 しかし『Crystal』のバンクはファンから不評で、第3期から手書きのアニメに変更されている。東映アニメーションは『プリキュア』シリーズで美少女アニメキャラのCG製作ノウハウを培っており(*6)、本作とは比較するまでもなくハイクオリティな映像に仕上がっているが、『セーラームーン』においてCGムービーは一種の鬼門のようである。 + よくネタにされるOPムービー。熱意自体は伝わってくる http //www.nicovideo.jp/watch/sm2350788
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セガ クロスオーバー関連作品リンク 機種 タイトル 概要 判定 電撃文庫 FIGHTING CLIMAXシリーズ AC 電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 電撃オールスター作品なのにキャラが少なく、セガとのコラボ要素が強すぎる。ゲームとしてはわりと良バランス寄り。 なし PS3/PSV 電撃文庫 FIGHTING CLIMAX 発売当初は家庭用版特有の問題が山積み。アップデートで改善。 改善* AC 電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION 良くも悪くも大型アップデート。ゲーム内容は前作同様安定感がある。一方、オールスターゲーとは思えない一部作品に偏ったキャラ選については評価が低い。 なし PS4/PS3/PSV 電撃文庫 FIGHTING CLIMAX IGNITION なし PROJECT X ZONEシリーズ 3DS PROJECT X ZONE NAMCOxCAPCOMの続編とも言える作品で、ナムコとカプコンのクロスオーバーにセガが乱入。しかし、『ナムカプ』と比べ単調なシナリオやクロスオーバーの薄さが批判の的に。 なし PROJECT X ZONE 2 BRAVE NEW WORLD まさかまさかのせがた三四郎参戦。ゲームとしても大幅に改善された。 良 オールスターレーシングシリーズ Wii/PS3/360/DS/Mac SONIC SEGA All-Stars Racing 国内未発売。『ソニックR』の流れを汲み、セガの歴代キャラがレースで対決。 WiiU/PS3 ソニック オールスターレーシング TRANSFORMED 新要素により空や海にも進出。上質なサウンドとグラフィックでセガの名作コースを堪能できる。 良 単発作品 SS ファイターズメガミックス 『バーチャファイター』と『ファイティングバイパーズ』によるセガ3D格ゲーの集大成。ついでに没キャラや自動車も参戦。 DC セガガガ 業界・内輪・自虐ネタここに極まる。セガ史上希に見る意欲作であり、断末魔。 バカゲー AC/PS2/GC 激闘プロ野球 水島新司オールスターズ VS プロ野球 野球漫画界の巨匠、水島新司の生み出した名選手達が実在選手と共演。 良 PS2 セガ スーパースターズ EyeToy専用。セガの名作ゲームをEyeToyで体感。 PSV ミラクルガールズフェスティバル 『Project DIVA』のノウハウを生かし、美少女アニメキャラがダンスで共演。 良 PS4/PSV 電脳戦機バーチャロン×とある魔術の禁書目録 とある魔術の電脳戦機 Switch ピクロスS MEGA DRIVE MARKIII edition DL専売。 ピクロスとのコラボ作品。メガドライブ&セガ・マークIII時代のセガタイトルから出題。 なし ゲキ!チュウマイ SEGAの音楽ゲームシリーズ。『ぷよぷよ』『龍が如く』『サクラ大戦』などからキャラ・楽曲が収録。
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PROJECT X ZONE 2 BRAVE NEW WORLD 【ぷろじぇくと くろすぞーん つー ぶれいぶ にゅー わーるど】 ジャンル シミュレーションRPG 対応機種 ニンテンドー3DS メディア 3DSカード/ダウンロードソフト(限定版は3DSカードのみ) 発売元 バンダイナムコエンターテインメント 開発元 モノリスソフト 発売日 2015年11月12日 定価 通常版 6,640円限定版 9,980円(全て税別) プレイ人数 1人 セーブデータ 8個+コンティニューセーブ1個 レーティング CERO B(12才以上対象) 判定 良作 ポイント 『ナムカプ』から始まる一連のシリーズの完結編『PXZ2』と同時に『ナムカプ2』でもある前作の問題点を改善しているができなかった部分も CAPCOMクロスオーバー関連作品シリーズセガ クロスオーバー関連作品シリーズバンダイナムコ クロスオーバー関連作品シリーズ 概要 参戦作品・登場キャラ一覧 システム 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 有名ゲーム会社同士のコラボRPG『PROJECT X ZONE』(以下PXZ)の続編。 前作同様のバンダイナムコエンターテインメント・カプコン・セガ(セガゲームス セガ・インタラクティブ)に加え、新たに任天堂が参入したクロスオーバー作品。 他社同士のお祭りゲーで正統な続編が作られるのは極めてまれ(せいぜい『スーパーロボット大戦』ぐらいだろう)であり、驚愕したユーザーも多かった。 今作は主人公を含め、『PXZ』の原点とも言うべき『NAMCOxCAPCOM』の続編、および完結編ともいえる形になっている。 参戦作品・登場キャラ一覧 + 非戦闘ユニットのみの作品も含む。太字は本作で初登場。敵は除く。 カプコン作品 ストリートファイターシリーズ ペアユニット リュウ ケン・マスターズ 春麗(シャオユウとのペア) ソロユニット イングリッド バイオハザード リベレーションズ ペアユニット クリス・レッドフィールド ジル・バレンタイン バイオハザード6 ソロユニット レオン・S・ケネディ 非戦闘キャラ エイダ・ウォン ヴァンパイアシリーズ ペアユニット デミトリ・マキシモフ モリガン・アーンスランド ソロユニット フェリシア ロックマンXシリーズ ペアユニット エックス ゼロ デビルメイクライシリーズ ダンテ バージル ストライダー飛竜シリーズ 飛竜(秀真とのペア) 逆転裁判シリーズ ソロユニット 成歩堂龍一 綾里真宵 非戦闘キャラ 御剣怜侍 キャプテンコマンドー ソロユニット キャプテンコマンドー スターグラディエイターシリーズ ジューン・リン・ミリアム ロストワールド ショップ店員 シルフィー セガ作品 サクラ大戦シリーズ ペアユニット 大神一郎(エリカとのペア) エリカ・フォンティーヌ(大神とのペア) 真宮寺さくら(ジェミニとのペア) ジェミニ・サンライズ(さくらとのペア) バーチャファイターシリーズ 結城晶 影丸 ソロユニット パイ・チェン 龍が如く OF THE END ペアユニット 桐生一馬 真島吾朗 エンド オブ エタニティ ゼファー ヴァシュロン ソロユニット リーンベル 非戦闘キャラ ガリジャーノン Shinobi ペアユニット 秀真(飛竜とのペア) スペースチャンネル5 ソロユニット うらら ベア・ナックルシリーズ アクセル・ストーン Kunoichi -忍- 緋花 シェンムーシリーズ 芭月涼 せがた三四郎 せがた三四郎 バンダイナムコ作品 鉄拳シリーズ ペアユニット 風間仁 三島一八 リン・シャオユウ(春麗とのペア) ソロユニット 三島平八 .hack ペアユニット カイト(ハセヲとのペア) 非戦闘キャラ アウラ .hack/G.U. ペアユニット ハセヲ(カイトとのペア) テイルズ オブ ヴェスペリア ユーリ・ローウェル フレン・シーフォ ソロユニット エステル GOD EATER 2 ペアユニット シエル・アランソン 香月ナナ ソロユニット アリサ・イリーチニナ・アミエーラ NAMCOxCAPCOM ペアユニット 有栖零児 小牟 ゼノサーガ エピソードIII ツァラトゥストラはかく語りき KOS-MOS(フィオルンとのペア) ワルキューレの冒険シリーズ ソロユニット ワルキューレ ソウルキャリバーV ナツ サモンナイト3 アティ オーダイン ショップ店員 みゆき 妖怪道中記 非戦闘キャラ たろすけ 乙姫 本作オリジナル 裏嶋千鶴 任天堂作品 ファイアーエムブレム 覚醒 ペアユニット クロム ルキナ 非戦闘キャラ チキ ゼノブレイド ペアユニット フィオルン(KOS-MOSとのペア) システム ターン制への変更 前作は各キャラの素早さに依存し、敵味方入り混じって素早いキャラから順に行動する形式だったが、本作は味方と敵のターンで区切る形式に変更され、ターン内の行動順は好きなように選べる形になった。 戦闘システム 基本は前作同様、「ペアユニット」と呼ばれる2人1組のユニットに「ソロユニット」という1人ユニットを加入させる、3人1組形式。 技の構成も「方向+ボタン」(方向を押さないパターンも含め最大5種)はそのままだが、通常攻撃の使用可能回数が反撃時も含めて3回で固定されており、後述のミラージュキャンセル使用時を除けば一度に全ての攻撃を使う事が出来ない。 代わりに、その戦闘で未使用だった技は「チャージボーナス」として次回の戦闘で強化される。 クリティカルシステムや、コンボで溜める「クロスゲージ」システム、加入しているソロユニットを呼び出す「ソロアタック」、隣接している他のペアユニットを戦闘中に呼び出す「サポートアタック」は前作同様で、ペアとソロの攻撃が同時に当たると「クロスヒット」となるシステムもほぼそのまま引き継いでいる(*1)。 XPとSP 前作では必殺技や複数技はおろか、防御や反撃、スキルの使用も全て全体共有のXP(クロスポイント)1つで管理されていた。 本作では必殺技等の攻撃要素と完全防御は全体共有のXP、防御と反撃とスキル使用は個々のユニットが保有するSP(スキルポイント)を消費する形に変更された。 前作ではXPを100%からMAXの150%まで溜めるにはクロスヒットが必須条件だったが、本作では通常攻撃やソロアタック、サポートアタック単独で150%まで溜めることが可能となった。 SPは毎ターン開始時に一定量回復し、装備やスキルで最大値増加や消費量減少が可能。 クロスブレイク 本作の新システム。クロスヒット中に敵を吹き飛ばす一撃が当たると、クロスヒットが解除され敵が吹き飛ばされる。 敵が吹き飛ばされた際にペアユニットやソロユニットが攻撃中だった場合でも、それらの攻撃はキャンセルされることなく継続されるため無駄に終わってしまう。 その代わり、クロスヒットで敵を吹き飛ばす一撃はダメージ倍率が高めに設定されるため、総合的には敵により高いダメージを与えることが出来る。 ミラージュキャンセル 本作の新システム。戦闘中にXPを100%消費する事で現在の攻撃を中断し、攻撃回数が1回増える。さらにしばらくの間敵の動きがスローモーションになる。 敵の動きが緩やかになる事でクリティカルを狙いやすくなり、クロスヒットも合わせやすくなる。 技ごとに設定された特定のタイミングでキャンセルする事により、消費を半分に抑える事が可能。 キャラによってはミラージュキャンセルに必要なXPを減らすスキルを覚える。 方向性の概念 敵味方全てのユニットに方向性の概念が導入された。相手を正面から攻撃した場合は通常通りのダメージ倍率だが、横からの攻撃(サイドアタック)が1.5倍、背後からの攻撃(バックアタック)は2倍のダメージを与えることが出来る。 スキルや装備でこの倍率を更に高めることが可能。サイドアタックやバックアタックを無効にするスキルも存在する。 インターミッション ナムカプ同様にインターミッションで買い物ができるようになった。 武器・防具や消費アイテムを購入する事が出来る。 戦闘で入手したCP(カスタマイズポイント)を消費する事でキャラの育成を行えるようになった。 追加のオートスキル習得や、各技の強化を行う事が可能。 強化は技ごとに上昇する項目が決まっており、1段階強化するといくつかの項目がまとめて強化される。(攻撃力、状態異常発動率、クリティカルダメージ倍率、XP回復率) トレーニングモードでの相手役がナムカプ同様『鉄拳』の木人に変更。背景は『ストリートファイターIV』のトレーニングステージになった。 出撃数の制限 今回は出撃数に上限が設けられ、上限を超える味方ユニットがいる場合には選択式となった。 ただし、全味方ユニットが出撃するステージも数は少ないが存在する。 評価点 演出面 前作で非常に拘りを見せ好評だった各技の作り込みは更に深くなり、相変わらず原作ムービー・アニメ版・漫画版など様々な方面からネタを拾っている。 必殺技時やソロアタック時のカットインが更にパワーアップし、アニメ調のデフォルメが効いたダイナミックなアニメーションとなった。 なお、ほぼ全てのキャラが高速で躍動するため、前作のように女性キャラの胸や脚をじっくり見せるという路線は廃された。 新規キャラの技演出はどれも気合いが入っており原作ネタをふんだんに盛り込んでいる。 桐生&真島、クロム&ルキナの必殺技のフィニッシュ時のカットインは原作のパッケージ絵を完全再現しており特に評価が高い。 KOS-MOS&フィオルンの必殺技は2人で同時に斬撃を放つというものだが、黒地に赤で「X」を表示させるカットインが入る。参入メーカーの垣根をも越えたこの演出はゼノシリーズのファンを大いに驚かせた。 続投キャラは技の構成や必殺技が一新された。殆どのユニットの組み合わせが変わっているため既存のモーション組み合わせを変える事で目新しいものとなっている。 ペア2人+ソロ1人という形の参戦作品はソロ枠が変更されており、それにより前作では行われなかった戦闘前後のクロスオーバー会話が行われるようになった。 ナムカプでは1組のみ、前作ではなかった異なるメーカー同士の越境ペアが新たに三組用意された。いずれも共通するコンセプト同士の組み合わせであり違和感なく噛み合っている。 『エンドオブエタニティ』はペアユニットがゼファー&ヴァシュロンになった事で、前回とは別のOPムービーを必殺技で再現しており、3D表示が映える事もあって評価は高い。 仁&一八のライバル同士かつ親子ペアは必殺技や複数技で必ずどちらかを巻き添えにする(もちろんゲーム的なダメージはない)。 影丸の必殺技「雷龍飛翔脚」では勢い余って自分もリングアウトしてしまうというプレイヤーの匙加減まで再現している。 大神&エリカの必殺技は、今作では『サクラ大戦3』のOPムービーを再現しており、BGMもパートも実際のムービーで流れている部分に合わせている。 ソロユニットもカットイン時に大きくアニメーションするようになったため演出が強化されている。 成歩堂と真宵は原作では戦闘などできないのだが、今作ではモリガンが真宵の勾玉の力を増幅させたため「異議あり!」やサイコ・ロックなどで敵を物理的に攻撃するのが可能になったという設定。特に何の説明もなくそれらの動作で格闘していた『UMVC3』の完全再現を実現させた。 エステルは前作と同じくセイクリッドブレイムを使うが、まさかの色仕掛けコスチュームに変身する。眼福。 本人の攻撃だけでなくレトロゲームキャラも召喚して攻撃するソロユニットが3社分用意された。セガは前作に引き続きうらら。バンナムはワルキューレ、カプコンはキャプテンコマンドーが担当。 うららの召喚するレトロゲームキャラは『アレックスキッド』や『獣王記』に変更。ワルキューレの技にはワギャンや『ゼビウス』のソルバルウが参加する。キャプテンコマンドーの召喚は『エグゼドエグゼス』や『バトルサーキット』という渋いチョイス。 フェリシア、キャプテンコマンドーはカットインがナムカプ当時のものとほぼ同じポーズになっている。 限定版での原作BGM・主題歌の搭載 今までお祭り作品でも金額面の問題もあってなかなか行われてこなかった「原作BGM及び主題歌の搭載」が割高の限定版限定とはいえついに実装され、原作ファンを大いに沸かせた。 一曲ごとに通常BGMも選べるようになっているため、通常版と同様にする事も可能。 通常BGMも決して出来が悪いわけではない。エックスのテーマ(『X3』オープニングステージ)などは良アレンジの呼び声も高く、いい意味でどちらを設定するか迷うほど。 また、再生方式が前作の内蔵音源からストリーミング方式に変更され、楽曲は数々の有名なゲーム音楽作曲家によって大胆なアレンジが行われ、クオリティが劇的に向上している。 原作ゲームの主題歌やBGM、アニメ版の主題歌などファンのツボを押さえた曲目が揃っている。 『ストリートファイターシリーズ』からはJ-POP界における名曲となった「恋しさと せつなさと 心強さと」がついに原曲版で収録。後述のベガ戦が更に燃える仕様となっている。 『バーチャファイター』は特に人気の高いアニメ版後期の主題歌「愛がたりないぜ」が収録されており、サビから入る必殺技演出と相まって非常にテンションが上がる。 ナムカプ勢の戦闘BGM「すばらしき新世界」は唯一フルコーラスで収録されている。 更に、サプライズで『バーニングレンジャー』から主題歌「Burning Hearts~炎のANGEL~」が曲だけ参戦し、バーニングレンジャー本編を再現したマップまで用意されている。先導するのは原作のCMを担当したせがたであり、テンションが上がること必至。 マップの再現度 原作のステージ構成とギミックを忠実に再現しており、プレイ経験者にはニヤリとくる仕掛けが多い。空中戦艦バルログやえんえん砂漠の遺跡などナムカプのマップを再現したものも。 前作の『ゲイングランド』と同様に今作では『マーベルランド』がステージのみ参戦している。 シナリオ面 前作では色々と問題のあったシナリオだが、本作では色々な面で改善された。 版権を越えたキャラクターの掛け合いの魅力は本作もそのまま。 相変わらず声優ネタやメタネタから熱い会話まで満載。本作に登場しない作品や他会社のゲーム、別のクロスオーバーゲームを示唆するネタまで多岐に及ぶ。 主人公が零児達のためナムカプを彷彿とさせる話題が非常に多く、版権キャラたちも多くが共通している。飛竜やキャプテンなどのナムカプからの復帰組は当時の参戦メンバーと共に話題を語ることが多い。 変化球として、一八はナムカプで敵だったが今回は味方。更にナムカプで魔界に行方をくらました後から話が明確に繋がっており、ナムカプ時に黄金の種を強奪した事を散々ネタにされている。また、親子三代が勢ぞろいした事もあり、戦闘前の会話などで家族や親子についてのネタを振られることも多い。 ステージ内でもナムカプ終盤での空中戦艦バルログのイベントやリュウとケンの対決など、ファンにとっては感慨深い演出が多数用意されている。 また、10年間でネットに蔓延したナムカプ関連の小ネタについても拾っている。特に語りぐさとなっている『ファイナルファイト』の凱がコマンドーチームにしか見えない、という話題については、本当に凱がコマンドーチームに所属している事をキャプテンが告白し他の版権キャラも凱がコマンドーチームだと勘違いしていたという衝撃の事実が明らかになっている。ついでに武神流奥義スモークボムも同じくネタにされている。 せがた三四郎はネタキャラとしてとにかく突き抜けた存在となり本作を象徴するキャラとなった。 そもそも『せがた三四郎 真剣遊戯』という主演作品が存在するとはいえ元々はセガサターンのCMキャラクターとして生まれた存在であり、ゲームキャラではないという事で発売前から「誰も予想できなかった」と大きな話題を呼んだ。 今作ではその立ち位置の特殊性を存分に生かし、時代や世界観を超えて各セガ作品キャラと交流を持つという小牟以上のカオスキャラとして登場している。 セガサターン以降の他社ハードで発売された作品でも悉く網羅しており、セガキャラ達には「"堅気にしておくには惜しい男" と評される」「普段も帝劇で特訓に付き合ってもらっている」等、半ばそれぞれの作中キャラに近い扱いを受けている。 初登場時にはさくらといっしょに『サクラ大戦2』のCMをボイス付きでまさかの完全再現。更にバーチャファイターの面々に向かって「今こそセガハードに戻る時が来たんじゃないのか!」ときわどいメタ発言を叫ぶ始末である。 戦闘前会話においても原作ゲームをプレイヤー視点で語ったり、キャッチコピーを言ったりプロデューサーの名前を出してくるなどやりたい放題。肝心のソロアタックもCMでの数々の行動を組み合わせた技(分身、脳天瓦割り、『AZEL』のCM時のポーズなど)となっており大きなインパクトを残した。 さらに担当声優も藤岡弘、氏本人。17年の時を経て完全復活を遂げ、ファンを驚愕させた。 シナリオでの言動やスキルも含めると原作のCMのネタを全て網羅しており、その他にも藤岡氏自身にまつわるネタ(*2)まで拾っている。 原作がCMのため動画サイトで元ネタを確認しやすいのもあり、新規プレイ層にも広く認知された。 作中の描写を見る限り、登場人物はせがたの言動に戸惑ったり突っ込みを入れたりすることもあるが、悪い方向でネタキャラ扱いするようなことはせず、きちんと尊重して扱っている。前述のバーニングレンジャーやテイルズ、ファイアーエムブレムステージなどではここ一番の判断力を見せてくれたりと、いざという時にはしっかり頼れるキャラクターとして描かれている。 イングリッドは初出演作がお蔵入りになった知る人ぞ知る人気キャラであり、以前より「小牟とロリババア属性が被る」という理由で参戦が危惧されていたが、今作では初登場時に小牟から「ぬしとわしが出会えば対消滅する!」などと弄られたのに対し「ワシの方が一年早い!」とメタ発言で返す(*3)など、逆手にとったネタを披露した。戦闘会話でも小牟と意気投合する時が多く、キャラの類似性を肯定的に扱っている。 前作で大神との戦闘会話が叶わなかったエリカは今回大神と新たにペアを組むという形で会話が実現した。 よってさくらが大神とのペアを解体することになり、他のキャラ達を巻き込んで三人が修羅場に突入するというステージも登場した。 軸となるシナリオを分かりやすくした事で、前作のような全体がぼんやりとしたシナリオではなくなった。 『スパロボ』のように例えば森羅の新エージェントを主人公にして『ナムカプ』の主人公である有栖零児と小牟を準主人公に据えても良かったであろうが、あえてこの2人を(「別ゲー」とは言え)再び主人公にする事で今まで中途半端に伏線だけを残してあった2人のストーリーにしっかりと決着を付けた。 これまでの外部出演では主人公を食うほどに目立ち、「お前らが主人公をやれ」と散々言われていたが、今回は実際にそれを敢行し、上手くまとめている。 今までなし崩しで協力していた沙夜についても、はっきりと敵にした事で決着がついた。 続投キャラである零児達を主人公にした事で、ナムカプで共演済みであったキャラ達との交流も自然になった。 3人目の「森羅」の隊員である裏嶋千鶴(非戦闘員)や新たな「逢魔」の幹部であるシース(敵)の登場により、今まで全容が謎であった森羅・逢魔の設定に深みを持たせている。 時空を超えて各世界に突如現れた「金の鎖」の謎を解き、沙夜達「逢魔」の目的を防ぐのがメインストーリー。 鎖に関する謎も徐々にテンポ良く解かれていくので、シナリオも理解しやすい。 版権キャラに関しても前作と違い、大半はきっちり決着をつけられるようになった。 前作同様に物語終了後でかつ、前作で倒してしまった敵もいるが、今作は「敵の復活」がシナリオに大きく組み込まれており、前作のような「決着は原作で」という形が少なくなった。このため今作のボス勢はベガやパイロン、シグマといったラスボス級のキャラも多く登場している。 特にベガと決着を付けるシナリオは劇場版『ストII』を再現したものであり、劇場版を忠実に再現した専用のボイスと技演出がありファン感涙の出来となっている。 また、途中のイベントにも『ストZERO3』および『ナムカプ』を意識した流れが組み込まれている。 沙夜と同様に、前作で協力関係にあり決着がなあなあで済まされたジュリとT-elosは今回最後まで敵のままとなっている。 前作で目立った敵のいなかった『TOV』『スペースチャンネル5』からも印象的なボスが登場している。 とはいえ、決着の付かない敵がいないわけではないし、相変わらず問題にもなっているが(詳しくは後述)。 同じシリーズ内の時代の違うキャラのコラボも多数行われている。 『REVELATIONS』のクリス・ジルと『6』のレオン、初代のダンテと『3』のバージル、『Shinobi』の秀真と『Kunoichi-忍-』の緋花、『.hack//』のカイトと『.hack//G.U.』のハセヲが該当。 特にバージルは、その正体が自分自身と深く関わりのある敵・ネロ・アンジェロとも共演している。 『ナムカプ』や『PXZ』時とは参戦作品が変わったことでその前後の差もネタにされている。 分かりやすいのがアリサ。前作では無印準拠だったが今回は3年後の舞台である『2』からの参戦のため見た目が大きく変化しておりよく弄られる。 各世界を転々とするのは変わらずだが、前作の問題を改善している。 意図しない形で飛ばされる形式が減り、自発的に目的地を設定した上でその足掛かりとして繋がってしまった世界を進んでいく形になったので、ナムカプ本編や前作のようにひたすら振り回されて右往左往しているといった印象は薄くなった。 シナリオ間の会話シーンも増えボリュームがナムカプ並に。 移動手段にオリジナルの戦闘車両“龍亀壱號”を用意したため、前作同様にひたすら移動するのは変わらないが、移動中の交流シーンがきっちり描かれるようになった。龍亀壱號には宿泊施設やゲーセンなども含まれている設定であり、やや特殊だがキャラ同士の休養描写も見られるようになった。 具体的なゲームコーナーに置かれているゲーム名は作中では語られていないが、これは実は4社以外のゲームも置かれているからであるとのこと。 2周目以降のとあるシナリオでは女性キャラたちによる温泉シーンまである。 原作では肌を晒したことがない女性キャラですら、この温泉シーンでは例外ではない。更に、ゲーム本編では対応していない3DSのマイク機能やジャイロ機能がここでのみ無駄に活用されている。色んな意味で一見の価値あり。 非戦闘キャラも多数登場。 前作ではたった2人しかしなかった非戦闘キャラだが、転々とする各世界の非戦闘キャラが多数登場しており、戦えない(戦わない)キャラとの交流も描かれている。 しっかりボイスも収録。中でも『エンドオブエタニティ』のガリジャーノンは「なんじゃこりゃあ…」をフルボイスで完全再現…どころか、リーンベルの人選により原作よりパワーアップしている。なおネタだけではなくまともな部分にもボイスがしっかりと存在する。 システム面 ターン制への変更 敵味方がまとめて行動する形になった事で、戦闘にメリハリがつき、緊張感も上がった。 前作では敵味方入り乱れて行動する割には味方側の回復手段なども豊富にあったため、戦闘不能に陥る事も少なく緊張感もなかったが、敵ターンとしてまとめて行動してくるために、下手にユニットを単独行動させると集中攻撃に遭いあっさり戦闘不能になる事も多くなった。 味方側でまとめて行動できるようになった事で、サポートアタックも行いやすくなった。 前作まではユニットの攻撃が行動順に大きく左右されていたが、これにより行動、攻撃の自由度が高くなった。 通常技の使用回数を減らすことで、単調さを改善 チャージボーナスによって今使わなくても良い便利な技は次の戦闘に取っておくといった選択も考慮に入るため、「毎度毎度同じ技を使うだけ」といった前作の問題はある程度解消された。 どうしても使いやすい技はあるので、毎回使ってしまう技もあるが、前回に比べて単調さはかなり少なくなっている。 ユニット行動の利便さの改善 全体共有のXPと個々のユニットが保有するSPの2つのポイントにユニット行動の消費が分割されたため、それぞれの行動が前作より選択しやすくなった。 XP100%を消費する必殺技で敵を倒すとSPは初期値のMAXである100回復する。XPは技強化やSPを消費しないオートスキルで回復率を上げることが可能で、後半になればなるほど1回の戦闘でXP0%からMAXの150%まで溜めることが容易となる。積極的にSPを消費してスキルを使い、消費したSPを必殺技でどんどん回復できるゲームバランスとなっている。 反撃にはSP50を消費するが、前作とは違い反撃時も攻撃回数は3回で固定されているので、スキルと同様の運用による積極的な反撃で敵を蹴散らすことが可能。 複数技が強化されナムカプや前作と比べ実用化できるレベルに マップ中でも弱い雑魚ならまとめて一掃できるレベルであり、ボスへの削り手段としても有効。 サイドアタックとバックアタックの効果も乗るため、上手い位置を取れれば一気に敵を殲滅も可能。 前述の通りターン形式になった事で、XP回復の手間はあれど複数攻撃を連続使用しての殲滅といった事も可能になった。 方向性の概念による戦略性の向上 前述のサイドアタックとバックアタックの存在によりユニットの配置1つで簡単に倍近いダメージを与えることが出来るため、位置取りが非常に重要な要素となった。 これは敵から攻撃された時も同じことで、条件が揃えば敵ユニットの背後からの通常攻撃1発で味方ユニットが沈んでしまう可能性もある。 そのため、ユニット行動終了時に絶対に背後から攻撃されない位置にユニットを配置したり、どうしても落とされたくないユニットにはサイドアタックやバックアタック無効のスキルをかけておくといった戦略性が生まれた。前作では移動力が制限されるため鬱陶しい存在だった「ZOC」も、相手に横や背後を取らせないための要素の1つとして存在意義を増した。 全体的な味方側の攻撃力の上昇 通常技の使用回数が減ったことと、ネット上で確認出来る本作のスクリーンショットで敵のHPが前作の終盤のボス以上の値を示していることに、「前作以上に敵が硬くて面倒なのでは」と不安を覚える人も多いかもしれないが、本作では敵のHP以上に味方側の攻撃力が上昇している。 具体的なダメージ計算が前作とどう変わったのかは不明だが、終盤の必殺技持ちのHP10万代のボスですら攻撃力を底上げすれば1回の戦闘で倒し切ることは十二分に可能となっている。 前作では序盤を除いて単独攻撃としては役に立たなかったソロユニットのソロアタックも、技強化が出来るようになった他にペアユニットの攻撃力が反映されるようになったため、ダメージソースとして運用できるようになった。 ソロアタック1発で雑魚を倒し切ることも可能。 そして本作では、クリティカル、装備、技強化、スキル、クロスブレイク、ミラージュキャンセル、サイドアタックとバックアタック、状態異常、ソロアタックやサポートアタック等、攻撃力を底上げする手段が豊富に用意されているので、攻撃力不足で悩まされるといった状況は殆どない。 出撃数を絞った事による手間の削減 出撃数が制限されたことにより必然的に1つのステージに登場する敵ユニットの数も減少。前述のターン制の変更等も相まってゲームのテンポが劇的に向上している。 キャラ育成要素 レベルについては前作同様あまり差をつけられないが、一方で技の強化などの面ではキャラ育成によるプレイヤーの好みの反映を行いやすくなった。 装備のないソロユニットもソロアタックの強化やスキルの習得・選択等が可能で、前作のようにいるだけのキャラではなくなった。 2周目以降のやりこみ要素の追加 キャラ育成に関しては1周ではほぼ強化しきれないため、最強にまで育てるには周回での育成が必要になっている。 2周目以降には「チャレンジステージ」が解禁され、クリアする事で各キャラの最強武具が手に入るようになっている。 チャレンジステージは装備品以外のアイテム持込み不可。回復はステージ中に手に入るアイテムやスキルで対応する。 一定ターンで敵が強化されるステージや出撃数が1つに制限されたステージ、全ての敵が本編中のボスのみで構成されたステージ等、どのステージも特殊なシチュエーションが用意され本編とは違った難しさがあり、非常に遊び応えがある。 ストーリーも前作にあった2周目以降強制ハードモードはなくなり、1周目と同じ難易度で遊べる。もちろん、ハードモードにあたる敵レベルが増加した「アドバンス」モードも選択可能になる。途中で切り替えることも可能。 ミラージュキャンセルの回数制限が無くなり、XP消費減少やXP上昇率増加のスキルと組み合わせると強力なコンボが叩き込むことが可能になる。 なおDLCを購入すると、1周目から「アドバンス」モードと同等の難易度で、スキル枠追加に加え獲得資金とCPがアップした「SPアドバンス」モードが選択可能。 賛否両論点 シナリオ面 ネタ要素が強め 相変わらず本作のプロデューサーである森住惣一郎氏の作風が色濃く出ており、クロスオーバーが全体的にネタ要素に偏っている。シリアスシーンにもギャグ的な解決策が盛り込まれていたりと、全体的にギャグ要素が強めになっている。 クロスオーバーを楽しめるか、真面目にやれと思うかは人によって意見は分かれる。 前作でリストラとなった作品の基準が不明 本作は世界観やシナリオ重点に置いた理由からマイナー作品や世界観に合わない作品(キャラクター)は外された。 元々前作でマイナー作品が比較的多めと問題視する声もあったため、『ゆめりあ』『ダイナマイト刑事』『サイバーボッツ』等の不参戦は仕方ないと言える。 だがマイナーでもない作品、人気キャラクターであった『GOD EATER』シリーズのソーマと雨宮リンドウ。人気タッグだった『DEAD RISING』シリーズのフランク・ウェストと『ヴァンパイア』シリーズのレイレイも外された。 常連だった『ロックマンDASH』のトロン・ボーンとコブンやクロスオーバー作品の常連『ジャスティス学園』の一文字伐も何故か外された点にも不満が多い。 理由は言及されていないが各シリーズの最新作が未発売か打ち切り、当時のシリーズ作品で主人公を務めていなかったなど出しにくかったのでは?という考察されている。レイレイはおそらくフェリシアの交代(*4)でソーマと雨宮リンドウはアリサと同期のシエルとナナに交代したと思われる。 ナムカプをやっていないとついていけない 評価点の裏返しである。前作でも言われていた部分だが、今回はより割り切ってナムカプの完全な続編となっており前作から引き継いだオリジナル要素は極僅かである。前述したネタの数々も完全にナムカプをプレイしてクリアした層に向けられている。 特に「PXZ2」を銘打っているのにもかかわらず前作『PXZ』の主人公がリストラされて(詳しくは後述)、前作ではいち参戦作品扱いだったナムカプの主人公が居座るというのは、PXZから始めた層にとっては複雑な部分ではあるだろう。 ナムカプやPXZで存在した敵から味方になるキャラがいない PXZではこれが原因で敵との決着がつかない事が多発したので、なくした事で敵との決着はしっかりつけられるようになったが、やはり敵との共闘というのもお祭りゲーで期待される要素だけに一切ないのも寂しい。 一応、ナムカプ時代に敵側だった一八がある意味ではこのパターンに入るが、今作では完全な味方陣営であり、シナリオ冒頭で加入して以降、敵にまわることはない。 キャラとしての加入でなければ、複数必殺技として使えるようになるスケィスはいる。 前作と比較した場合の技の拾い性能 前作と比べてみると、全体的に敵を拾いにくい技が増えている。前作と同じ感覚で技を出すと敵を落としてしまいがちになるため、前作経験者ほどその感覚の違いに戸惑う事になる。 問題点 シナリオ面 いくつか決着のつかない敵キャラと残った謎 前作でもあった問題だが、「シナリオ途中で転移して来た」タイプの作品は今回も決着は元の世界に持ち越している。 加えて、「現時点より後の原作で敵の正体の謎が判明する」敵に関しては、何となく正体を匂わせる程度には答えが出るものの、明確な答えは出さないままにフェードアウトする。 原作のネタバレ防止の面もあるのだろうが、どうにもモヤモヤとしたまま終わってしまう。 原作設定との齟齬 クロスオーバーゲームでは避けられない面もあるが、一部の原作設定との食い違いはファンからすると違和感を覚える。 アティの抜剣覚醒は、『果てしなき蒼』になるまでは原作では使用する度にカルマ値が蓄積されバッドエンドに分岐してしまうという曰く付きの技だが、今作ではソロアタックの度に覚醒し、シナリオ上や戦闘前会話でも持ち芸のひとつのような軽い扱いで覚醒している時がある。 前作同様『TOV』は原作ではED後には消滅しているはずの『魔導器(ブラスティア)』を当然のように使用している。『魔導器』の話題が一切出ないならばまだしも、シナリオでもそれなりに話題に上がるため余計にわからない事に(*5)。 本作のシナリオ中の台詞でユーリ達が原作のラスボスであるデュークと和解していることが分かるが、原作でのデュークとの和解は『魔導器』の消滅が絶対条件である。デュークとの対立の原因でもある「"魔導器" が持つ問題」を解決する新理論は『TOV』作中で完成しており、EDではそれを用いた新しい道具の開発研究をしていることになっているので、それが実用化された上で「新型の "魔導器"」と呼んでいるのであれば一応の説明はつくが、なのであればせめて一言されるべきそういう説明は本作中一切されない。 スマートフォン用ゲーム『テイルズ オブ アスタリア』で登場する『魔導器』はこの新技術らしき設定が盛り込まれているが、原作と本作で完結しない考察をプレイヤーに求めるのは流石に酷であろう。 ダンテは時期的に「初代のmission4の途中から参戦」という形になっているのだが、使用する剣が初代で登場したフォースエッジやアラストルではなく初代では登場しないリベリオンになっている(*6)。また、キャプテンコマンドーとの掛け合い会話でダンテは「イフリート(籠手)を持ってこればよかった」と発言しているが、原作の時系列ではまだイフリートを入手していない(*7)。 ジェミニは髑髏坊と面識があることになっているが、原作では二人の間に面識はない。森住氏は髑髏坊について、『サクラ大戦V』をプレイして絶対に出さなきゃダメだと思ったと本作発売前のファミ通インタビューで公言しており、原作との辻褄合わせよりも作品としての完成度を優先した故の改変と思われる。 これらの原作とは辻褄が合わない設定に対して、成歩堂のように独自の補完設定もない。 戦闘中のペアユニット同士、ソロユニット同士の掛け合いがないのは相変わらず 日常会話シーンでの交流が前作よりも増えた他、前作から続投したキャラは組み合わせが変わっているのが大半なので、前作ではなかった掛け合いがあったりはするのだが。 前作の掛け合いでうららがやたら他人の地雷を踏む事を批判されていたが、本作ではエステルがやたらと地雷を踏む。うらら同様エステルも原作ではそんなキャラではない。 一部作品の扱い 特に顕著なのは『スターグラディエイター』で、作中屈指の人気キャラであるジューンが参戦しているが、本来の主人公であるハヤトはまさかの敵としてのみの登場である。 原作でも登場した裏キャラ・ブラックハヤトとしての登場であり、ハヤトの精神はほぼ飲み込まれた状態である。最終的に救助には成功するものの、そのまま戦闘に参加する事はなく終わってしまう。復帰して仲間になるのを期待していた原作ファンも多かった。 開発陣のコメントによると「中華服枠としてジューンを参加させる」というのがまず念頭にあったらしい。そのために関係のある敵キャラを出そうとしたのがこの結果だろう。とはいえ原作の音沙汰が無いため貴重な再登場の機会だっただけに余計に残念である。 『バーチャファイター』の敵キャラとしてデュラルが出てくるのだが、ベガに使役された状態でコピーのV-デュラルが出てくるばかりで、オリジナルデュラルに関してはベガ撃破後にふらっと出てきて何となく倒すだけという拍子抜けな最終決戦になってしまっている。 一応、そのステージのデュラルは『鉄拳TAG』のアンノウンと組んで立ち向かってくるのだが、その際の構図が「息子VS母親×2ユニット」(人によっては3ユニット全部と考えている人も)というクロスオーバーならではのシチュエーションとなっている。が、そんなやりようによっては盛り上がるシチュエーションも、実際には全く盛り上がらない訳だが。 前述の通り、シリーズ内でも時代の違う作品がコラボされているが、その結果、敵や軸となるストーリーはどちらかに偏ってしまっている。 中でも『Shinobi』と『Kunoichi-忍-』に関しては、両作ともに初参戦ながら完全に『Kunoichi-忍-』に寄ったシナリオになっており、『Shinobi』の再現要素は殆ど存在しない。この2作品だけで言えば、『Kunoichi-忍-』の世界に迷い込んだ原作開始前の時系列の秀真といった状態で、シナリオ上の存在感が非常に薄い。ストーリー上では秀真の武器である悪食が完全に覚醒する前のため、実質的に原作の実力の半分も出していないことになる。 そのためか本作の秀真は原作では使用していない他の忍シリーズ(『ザ・スーパー忍』や『シャドウダンサー』等)の技を使用する。これに関しては開発スタッフの許可を得ている。 ただし『Shinobi』の原作は首都が壊滅するところから物語が始まり、一刻の猶予もない状況を描いているため、無理に組み込めなかったものとも思われる。 前作同様、『サモンナイト3』『龍が如く』『SCV』など、原作でのボスクラスの敵がいない一部の作品はどうしても空気になりがちである。 これらの作品に関しては登場キャラの濃さで目立っており、他の作品のボスとの因縁が用意されていたり原作のステージが再現されていたりするので一概に不遇とはいえないが、『SCV』のナツは設定こそ『ナムカプ』で登場したタキの後継者という続編らしいものになっているが、実際は因縁のあるボスもステージもなくシナリオ上で目立った活躍もない、と扱いが一歩劣る(性格のためか会話では目立つが)。 逆に『サクラ大戦』シリーズは味方4人全員がペアユニットという唯一の作品(*8)であり、同じく前作でも『サクラ大戦』のみの特権だったため優遇されていると感じるプレイヤーもいた。 これはサクラ大戦の参戦条件にヒロイン3人を同格に扱うというものがあり、そのためそのうち1人をソロユニットに降格できないのが原因と言われている。 ショップ店員キャラの改変 作中、様々な場面で空気を読まずに店ごと登場するシルフィーとみゆきだが、原作とは異なり「お客様は平等」というスタンスの元に行動しており、敵の増援を呼び込んだり(結果的にとはいえ)敵側に戦力を提供したり味方の情報を漏らしたりといった、はた迷惑なキャラになってしまっている。シルフィ―が敵に利用された際に、味方に対して「(償いとして)情報を売ります!」と叫ぶ始末(*9)。 シルフィーはナムカプの参戦時から守銭奴キャラとして描かれていたが、それでもあくまでプレイアブルとして明確に味方側についていたため、今回中立の立場に終始し、戦闘に参加しないことに余計に不満が出ることとなった。これについては劇中キャラたちもハッキリ言及している。 キャラ描写面においては腹黒さが強調されている嫌いがあり、「今の内に恩を売っておけば……」などとのたまいつつ顔に影の差した腹黒い笑顔を見せたりと、ナムカプ本編では見せなかった表情や言動がやたら多い。守銭奴設定はナムカプ時代からとはいえ、そちらを経験済みのプレイヤーからすれば態度が豹変しすぎに見えてしまう。『ナムカプ』でも緊急時に重要な情報を売ろうとしてとがめられた際、沈黙した挙句に嘘を教えてごまかそうとするなど黒い面をそこはかとなく見せはしたものの、ここまでではなく、いざという時には危機を知らせに駆けつけるなど積極的に助力して頼れる一面も見せてくれていたのだが。 また中盤に味方にその度を越した中立っぷりを責められた際に誠意として、原作からおなじみのあの服が販売されるが、原作やナムカプ同様物凄く高く1周目の解禁時期に購入はほぼ不可能。買えないほど高い服の販売を誠意として掲示されたところでどれだけのプレイヤーが納得できたのか…。 同じくナムカプでプレイアブルだったたろすけも今回戦わないが、こちらはキャラの改悪がなされない役回りであり、批判は少ない。 みゆきについては参戦当たって初めて詳細なキャラの掘り下げがなされたレゲーキャラだが、『納得のいかない対応をすると無表情で両目を見開き恐喝まがいの態度で売り込みをしてくる裏表のある性格』という、ある意味シルフィーよりも反感を買いやすいようなキャラにされている。 実は、原作でショップに出入りする際に、何も買い物せずに帰ると『「ありがとうございました」の一言を言わず無言で見送る』という形になるのだが、その点がプレイヤー間でネタにされ「実は意外と裏表がある性格」などとも言われていた他、当時のゲーム雑誌でもこのような演出をキャラの腹黒さと捉えてネタにした文章が書かれたこともあったりした。恐らくはそこをネタとして強調した描写と思われるため一概に改悪とは言い切れないが、初参戦にしてはクセの強すぎるキャラメイクと言わざるを得ない。ヒロイン以上に人気のあるキャラだったけに尚のことである。 両者ともに、森住氏が頻繁に描く「悪徳商人キャラ」の癖が強く出てしまっている。 その他、シナリオの問題点 一部の「死んだ自分の目上のボス」を復活させるという目的を持っている原作での中ボスにあたるキャラがほぼ全員その目的を達成させずに死んでいくため、シナリオで見れば「味方で頑張って阻止した」ように見えないこともないが、不完全燃焼な対決で終わってしまう。 とはいえ、そのうちの一人、原作ラストで和解している『サクラ大戦V』の信長は復活しない方が自然ではある。 エイダは序盤であるレオンの登場回で同時に登場するが、その登場回の途中で特に何かをするわけでもなく抜けて行った後、エピローグまで登場しない。 終盤の会話シーンにてレオンに対して通信で情報を与えるという形で出番があるものの、仲間の口を通じて通信があったことが間接的に言及されるだけで顔見せもセリフもない。 『逆転裁判』がメインになるあるシナリオでは成歩堂と御剣が実際に法廷に立ち、原作さながらの法廷バトルが開始される…と思われたところで問題が解決してしまい、結局裁判をやらないまま終わってしまう。 賛否にもある通り、ギャグ的クロスオーバーによる解決と、あくまでSRPGなので法廷バトルを長々やるのは避けたのかもしれないが発売前のPVでは裁判直前のシーンが使われており、裁判を期待した逆転裁判ファンからすれば肩透かしになってしまった。 同じ回に登場するNPCの乙姫やたろすけと比較しても、御剣のストーリー中の台詞量はエイダ同様に極端に少ない。クロスペディアには本編で使われていない御剣の立ち絵がいくつか存在する。 未登場キャラの名前を出さない事で少々不自然になっている箇所も多い。 パーティが分断された際に、その場に存在しないキャラクターが喋る事もある。 前作主人公の扱い 前作のオリジナルキャラであり主人公の天斎小吾郎と黄龍寺美依は、今回その後の動向や零児達に協力している事が他キャラから語られるだけで、物語上では姿を見せない。 前作で主人公としての魅力や存在感が薄いと散々に批判されてはいたが、PXZの続編である今作に前作の主人公が参加しないというのはやはり寂しいものがある。再登場して前作の不評を払拭する活躍を望む声もあった。 ネタ方面でもジューンが声優ネタとして美依の口癖を真似するシーンがある程度である。今作では忍者キャラが複数名参戦しており家庭教師であるアティも登場しているので、同じ特徴を持つ小吾郎は前作以上に格好の話の種になっただろうに…。 「金の鎖」というキーワードで巧みにシナリオを引っ張っていく構成は評価されている一方、「ナムカプ本編の展開をなぞっているだけで新鮮味がない」「シナリオ途中でラスボスが予想できた」「やはり単調さが否めない」といった意見も少なからず聞かれる。 上述のように、ナムカプ本編や前作と異なってしっかり物語の展開にメリハリがつけられているが、肯定的に受け止められるかどうかはプレイヤー次第だろう。 また、事態の解決にナムカプを意識した展開が多いことについても好意的な意見がある反面「二番煎じ的」という声もある。 演出面 演技の変化 イングリッドは原作と同じ城雅子氏が演じているが、10年以上経ってからの収録のためか演技指導のミスなのか演技が大きく変化しており、声優が変わったと勘違いされることが多くあった。 原作では普通の少女のようなトーンだったが、今回はお婆ちゃんのような声質に変わっている。 システム面 マップの見にくさは相変わらず 前作同様、余り大きく視点を動かせないので、建物の影などは相変わらず非常に確認しづらい。 特にロックマンXステージなどはマップ上でダメージを受ける仕掛けが多く存在するにも拘らずかなり見づらい。 やはりアイテムが余る 所持上限と別にマップに持ち込み可能な上限が設定されたが、それでも十分すぎるくらい持ち込めるので、体力回復の点で言えばアイテムによる回復で十分賄える。 新システムのミラージュキャンセルがほぼ死に要素 まず基本の消費であるXP100%が重すぎる。同じXP100%消費であれば、必殺技を使った方が手っ取り早いし、遅くせずともクリティカルが安定するのであれば、ダメージ面でも必殺技が勝る。 次にキャンセルポイントの猶予時間がかなり短い(*10)ため、安定させるためには練習が必要。共通の目印があるわけでもないので、各キャラの技ごとにタイミングを覚えなければいけないのもつらい。 これらの理由で、使用回数に制限のある1周目ではまず出番はない。 2周目以降は1戦闘中の使用回数制限がなくなるため、技ごとのキャンセルポイントを覚え、XP消費量を減らすスキルを併用する事で1戦闘中に何度もミラージュキャンセルを行う事も可能になるが、それでも入念な事前準備が必要な事とキャンセルの難しさもあってハイリスクハイリターン。 結局、使わなくてもクリアに支障がないため、使われないままになってしまう事が多い。 技の強化が結局使い勝手の格差を広げがち ダメージよりも状態異常を優先させる必要が出てくるのがクリア後のチャレンジステージくらいなので、技の強化も攻撃力優先で使用頻度の高い技の強化に偏りがちになる。 結果として、使いづらい技は強化されず余計使われないままになってしまう。チャージボーナスがあるので、他の技の温存のために使う場面がなくもないが、逆に言えばその程度の出番しかない。 状態異常としても反撃を封じられる崩しと、その効果に加えて攻撃されるまでは3ターン動けなくなる気絶が非常に強力。 味方の火力がかなり高くなっている事もあり、DLCのSPアドバンスモードのほうが1周目から状態異常を駆使したりと試行錯誤できてやりがいがあるという意見も。 クロスブレイクが使いづらい クロスブレイクによる威力上昇やクロスブレイク時に発動するスキル等の恩恵はあるものの、それ以上にクロス中の攻撃を空振りさせる原因になってしまう事の方が多い。 トレーニングモードで敵と背景が選択できない 凝ったものが多いだけに残念とする声が強い。 バックログ機能がない シナリオが面白いだけに、読み逃すとステージの最初からやり直さなければならないのは不便。 セーブデータスロットの減少 前作ではセーブデータのスロット数が15だったが、本作では8とおよそ半分にまで減少している。RPGとしては十分だが、シナリオが面白いだけに、大量にセーブデータを残しておきたい人にはきつい変更。 インターフェイスが今ひとつ使いにくい スキルを味方に使用する場合、使用されるユニットから一度切り替える必要がある。 ステージ開始時の出撃キャラ選択は、最初にキャラが強制的に配置され、その後ユニット編成を選んで出撃キャラを外して変更するが必要がある。選択も微妙にやりづらくテンポが悪い。 下画面の切り替えがやりにくく、文字も小さい。また、ユニット切り替えの反応も良くない。そのため、ステータスや発動している効果の確認がやりにくい。 特に戦闘中や編成でのステータスの確認は下画面のみであり、一般的なメニューから入れるステータス画面は存在しない。反応もよくないため、タッチペンを無理矢理使わされている感が否めない。 またショップではショップから出る時の台詞を飛ばす事ができず、ボイスが終わるまでショップから出る事ができない。 よく似たシステムのスーパーロボット大戦などと比べると、こなれていない部分が目立つ。 BGM関連 2周目以降のプレイではBGM設定が通常通りの「ノーマル」、ユニット行動毎にBGMが不規則に変化する「ランダム」、味方ターンのBGMがシステム設定で再生中のものに固定される「鑑賞中のBGMに固定」の3種類から選べるようになる。スパロボのようにユニット毎に自分の好きなBGMを設定することは不可能。 これだけなら前作とほぼ同じ仕様だが、前作ではステージ中でも行えたBGM設定が本作ではステージ前のインターミッションでしか行えない。1度「鑑賞中のBGMに固定」を選んだ場合、そのステージをクリアし終えるまでは味方ターンは同じBGMが延々と流れ続ける。 前作からクオリティが劇的に向上したことと前作で出来たことが出来なくなったと考えると、非常に残念な仕様としか言いようがない。 ちなみに、限定版であれば原作BGMと通常BGMの選択機能を利用して、ステージ中でもシステム設定画面内限定で任意でBGMを聞くことは出来る(本作出典のオリジナルBGMは選択機能に対応していないため不可能)。 チャレンジステージでは設定関係なしにBGM固定にされてしまう。 BGMデータが高圧縮され、音質が低下した。 恐らくは処理負荷の問題と思われるため仕方ない側面もあるが、一部の楽曲は限定版のサントラに収録されているものの限定版自体が一部の店舗でしか購入できず、本編で流れるすべての曲が収録されているわけではない。楽曲自体のクオリティは前作から大きく向上しているため、非常に惜しいところ。 バグ 戦闘終了時の立ち絵が表示される瞬間にソフトリセットするとフリーズする。トドメを刺すつもりが刺せなかった(もしくはその逆)のでリセット、というプレイスタイルのプレイヤーがこのバグによく引っかかった。 また、 KO演出をONにした状態でカイト&ハセヲの必殺技で敵を倒すと〆の一発がヒット数に換算されない というものがあり、コンボの繋ぎ方次第では「ヒット数が1足りない」という状態に陥ってしまう(*11)。 総評 シナリオ、システム面といくつか改善しきれていない問題も残っているが、前作の良さはそのままに前作の問題を改善した良質なクロスオーバーゲームに仕上がっている。 限定版のみではあるが、お祭りゲームとしては稀に見る原曲BGMの収録を達成しており、原曲そのままのBGMを背景に戦う事が出来るのは原作ファンにとって嬉しい限りである。 また、ナムコクロスカプコン本編から本作に明確に繋がる形で入った要素も多いため実質的にナムカプ2ともいえるゲームにもなっており、零児や小牟のファンにはぜひ手に取ってもらいたい一作である。 余談 限定版には特典として、『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説 with シャオムゥ』のプロダクトコードが付属している。 PSの『ナムコアンソロジー2』に収録されていたアレンジ版『ワルキューレの冒険 時の鍵伝説』を元に、本作のヒロインである小牟をプレイヤーキャラクターとして追加したもの。3DS向けにインターフェイスの最適化も行われている。 プロダクトコードという性質上、新品を入手しなければ遊ぶことができない可能性が高い。限定版は限定生産な以上、今では新品を置いている店はまずなく、そもそも発売前の時点で予約枠が狭く予約購入でも少々難があったため今から遊ぶとなると新古業者などからプレミア価格での購入となってしまいがちなのが難点。 ニンテンドーeショップにて、全3話をプレイ可能な体験版が配信されていた。 前作の体験版は起動回数7回だったが、本作の体験版は30回まで起動可能。 周回プレイが可能で周回を重ねると敵ユニットが強化されていくが、それに応じて製品版で使用する装備と資金、CPが入手出来る仕様だった(特典が付くのは10周目クリアまで)。 今作が制作された経緯には前作の海外版が非常に好評であった事が大きく関係しており、今回の参戦作品は海外での人気を強く意識した選出がなされている。 ちなみに森住氏は前作で参戦していた『無限のフロンティア』のキャラによるクロスオーバーネタを考案していた模様。 3メーカーに加えて任天堂が参戦することは当初は伏せられており、東京ゲームショウ2015にて正式にメーカー参入と2作品の参戦が発表された。 『逆転裁判シリーズ』は前作の時点で参戦の予定があったが、同時期に『レイトン教授VS逆転裁判』が進行中であったため、参戦は本作まで見送られていた。 尤もどんな作品にしろ一般人が殴り合いに参戦する事をそんなに望むユーザーなんて居ないだろうが。 ショップ店員はセガ側のみキャラが存在しないが、企画段階では『サクラ大戦』のシー・カプリスが候補に挙がっていた。だが、バンナムとカプコンのショップ店員と違い、『サクラ大戦』はユニットとして既に参戦していたため、結局これは実現しなかった。 他には『ファンタジーゾーン』の風船を登場させる案もあったが、そもそも原作では風船は店員ではなくショップそのものであるため、流石に無理があったとの事。 『龍が如く』は本編でなく外伝・パラレル作品であるOTEの参戦だが、これについては『龍が如く』の本編シリーズが現実の時間(発売時期)と同時進行で密接に進むストーリーであり、本作発売当時は『5』と『6』の間の空白の期間であったため制作側が「本編シリーズを絡ませるとこちらの本筋に少なからず影響が出るかもしれないから」と進言したことによる措置である。後に発売された『6』では本作に繋がるような描写は当然存在しない。 本作で参戦作品から外れた『スーパーロボット大戦シリーズ』のゼンガーとハーケンだが、後に『スーパーロボット大戦OG ムーン・デュエラーズ』に参戦。「新西暦の世界へと転移したため参戦できなかった」という理由が付けられ、限定版特典ブルーレイにて『PXZ』後日談にして『OGMD』前日談となるピクチャードラマ「ゼンガーの帰還」が収録されている。 ただし本作には参戦しておらず、SRPGの二大巨塔と言える『スパロボ』と『FE』の共演は惜しくも成らなかった。 前作と本作のプロデューサーの石谷浩二氏とディレクターの森住惣一郎氏は2017年3月末でモノリスソフトを退職、両名にとって本作が同社での最後の仕事となった。 同時に、『ナムカプ』『ムゲフロ』シリーズから続いてきた一連のストーリーが本作をもって完結する事が明かされた。 2017年6月29日をもって、本作のDL版と体験版、そしてDLCの配信が全て終了してしまった。そのため、現在新しくプレイしようとする場合は「SPアドバンスモード」の解放が出来なくなってしまっている。
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ファーム・ミスタリー・ハッピー・オーチャード・ナイトメア 【ふぁーむ みすたりー はっぴー おーちゃーど ないとめあ】 ジャンル 脱出ゲーム 対応機種 Nintendo Switch メディア ダウンロード専売 発売・開発元 Ocean Media 配信開始日 2021年1月28日 定価 1,049円(税込) プレイ人数 1人 セーブデータ 1箇所・オートセーブ方式 レーティング IARC 7+ 判定 なし ポイント 呪われた農家からの謎解き脱出ゲーム難易度は控えめ・謎解きのスキップ可能全体的にあっさり気味でボリューム不足 概要 ゲームルール 評価点 問題点 総評 概要 アメリカのインディーズメーカーであるOcean MediaからリリースされたNintendo Switch専用ダウンロードソフト。 ジャンルは主観視線で行われる謎解き脱出ゲーム。主人公「クロエ」が幽霊のいる呪われた農家に監禁された恋人「ザック」の救出と脱出を目指す設定。 ホラーゲーム的な雰囲気を醸し出しているが、ビックリ・残虐などのショッキングな描写はほぼなく、IARCのレーティングも控えめに抑えられている。 ゲームルール ゲームの流れ カカシまみれの呪われた農家を舞台に、様々な謎解きを行いつつ先のエリアへと進んでいく。 原則として複数エリアの行き来は自由に行えるが、進行状況によっては後戻りできなくなる場合もある。とはいえゲーム進行が詰む心配はない。 本作にはゲームオーバーとなる要因はなく、ストーリーやエンディング等の分岐もしない。いわば昔ながらの総当たり系の謎解きゲームといえる。 エリアには他のエリアへと続く「赤い光」と、謎解きイベントが起きる「緑の光」が発生する。 それぞれの光を決定すると、前者は他のエリアへと行き来でき、後者は謎解きイベント画面へと移行できる。 緑の光に関しては謎解きを終えると光が発生しなくなる。またエリア中に「このエリアはもう探索する必要はない」というアドバイスもされる。 謎解きについて エリア中に発生する謎解きイベントをクリアすると、先のエリアへと進めたりアイテムが入手できる。 謎解き中において簡易なヒント表示ができるほか、そのイベントのスキップもできる。双方ともに行ってもペナルティはない。 入手したアイテムはストックがなされる。謎解きはアイテムを使用しないと解けないものが多数で、使用したアイテムは消滅する。 作中おいては時折ファイルも入手できる。中には謎解きに関する重大なヒントが記載されている場合があり、これを照らせ合わせないと謎が解けない。 謎解きとは少し異なるイベントだが、頻繁にアイテム探しのイベントも挟まれる。 このイベントは画面内に表示された12つのアイテムをすべて見つけるとクリアとなり、重要アイテムが入手できる。イベント中のペナルティはない。 操作体系 コントローラー側と本体側の両操作に対応。主な操作は「カーソルの移動及び決定」「アイテムの使用」「ヒントの確認」など。 評価点 難易度控えめで遊びやすい 謎解き等の難易度は全体的に控えめで、この手の謎解きゲームとしては苦戦する事なくオールクリア可能。 ほとんどの謎解きは軽い行動で難なくクリアできる位の難易度であり、たとえ謎解きできなくともスキップ可能なのでゲームが詰む事はありえない。 エリア中に「どこのエリアにいけばいいのか」「どこが謎解きイベントなのか」という光が明確になされるため、次は何を行えばいいのかも一目瞭然。 グラフィックの雰囲気は上々 洋風ホラーチックなグラフィックのクオリティは高く、作中の雰囲気はまずまず良好。 グラフィックの使い回しはなく、先のエリアに進むたびに新鮮な展開が待っている。ホラー要素は薄いが不気味さはなかなかのもの。 問題点 価格非相当な薄いボリューム 総合的なボリュームは1~2時間もあればあっさりとオールクリアできるほどに短く、価格相当な内容とはいい難い。 上記の通り、謎解き難易度が控えめなためにとんとん拍子でクリアできてしまい、これといった難関や山場に遭遇する事なくゲームが終わってしまう。 いつでも謎解きイベントがスキップできてしまう故に、謎解きゲーム特有の緊張感も薄い。いくら何でもシステム周りが親切すぎる。 あってないようなストーリー描写 所々にクロエを中心とした会話シーンが入るものの、ほとんど気休めレベルのものでストーリー描写が極めて淡泊。 良くいえば謎解き等に集中できるともいえるが、エンディングまでこの淡泊さが続くので、そもそも会話シーンを導入する必要があったのかは疑問なところ。 エンディングがあまりにもあっさりすぎてオールクリアの実感がいまいち沸いてこず、おまけ的なサプライズも特になし。 総評 謎解きゲーム初心者向けといえる優しい難易度で遊びやすい反面、価格に似合わぬボリューム不足さも目立つ。 致命的な欠陥はないものの、ボリュームややり応えという意味では他の同価格帯の謎解きゲームに比べて一回り劣る一作といわざるを得ない。
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美少女戦士セーラームーン ANOTHER STORY 【びしょうじょせんしせーらーむーん あなざーすとーりー】 ジャンル RPG 対応機種 スーパーファミコン メディア 24MbitROMカートリッジ 発売元 エンジェル 開発元 アークシステムワークスTNS 発売日 1995年9月22日 定価 11,800円 判定 良作 ポイント セーラームーンのゲームで唯一のRPG原作者が脚本とゲームオリジナルキャラクターデザインを担当セーラームーンシリーズ歴代キャラクター大集合 美少女戦士セーラームーンシリーズリンク 概要 戦闘システム 評価点 問題点 総評 余談 概要 90年代に一大旋風を巻き起こした少女マンガ・テレビアニメ『美少女戦士セーラームーン』のRPG化作品。 オーソドックスなフィールド見下ろし型+ターン制バトルRPG。セーブは町やダンジョンに設置されているルナPボールを調べるor特定のイベント後に可能で、セーブデータは2つまで保存可能。全滅すると、最後にセーブしてから起こったことはなかったことにされるタイプ。 物語の時期はデス・バスターズ編の後の設定。運命を操る組織「ヘル・デスティニー」がセーラームーンたちが今までに戦ってきた敵を復活させるというストーリーで、全五章で構成。 原作者の武内直子が本作のストーリー及びオリジナルキャラクターデザインを担当した。 アニメ版と同じく有澤孝紀が音楽を担当。『美少女戦士セーラームーン (SFC)』と『美少女戦士セーラームーンR (SFC)』のBGMが使われている場面がある。 本作はゲームバランスが不安定であると批判されることがあるが、RPGとしての総合的な内容や、キャラクターゲームとしての出来栄えは良質である。 初回特典として、後述のLV16からスタートする裏技のコマンドを記述したスペシャルカードが付属された。 戦闘システム 味方のステータスは、HP・EP(一般的なRPGのMPに相当)・LAP(後述のリンク技の威力に影響。リンク技を使うと成長)・攻撃力・防御力・素早さ・特殊回避(状態異常耐性)の7つ。 それぞれの最高値は、HPは999、EPは12、後のステータスは255まで(戦闘中に能力強化すれば255を超える)となっている。 レベルアップによるステータス上昇値の幅はキャラごとに決まっている。レベルは99でカンスト。 敵のステータスは基本的に味方と同じ仕様となっているが、LAPと特殊回避の概念がなく、HPとEPの上限は文字通り味方とケタ違いである。 ステータス異常は、しびれくん(毒。ターン経過で割合ダメージ。戦闘終了後も継続)・いねむり(ダメージを受けると治る)・カチンコチン(石化。全員石化で全滅。メンバー入れ替えで全員石化のパーティにしても戦闘に突入しなければ全滅しない。戦闘後も継続)・わがまま(混乱。敵か味方に通常攻撃する。ターン経過で治る)・うっとり(味方にのみ通常攻撃する。ターン経過では治らないので、全員うっとりになると事実上全滅確定)の5種類。 ウラヌスはうっとり、ネプチューンはいねむりになりやすい特性を持つ。 戦闘参加メンバーが1人しかいない(他のキャラクターが戦闘不能ではなく、本当に1人だけ)状況では、毒以外の状態異常にならない。 レベルアップするとHPが完全回復し、気絶(HP0)しても戦闘が終了するとHP1で復活する。また戦闘が終了するとEPが完全回復する。 アクセサリー(装備品)は3つまで装備できる。 味方パーティは最大で5人まで戦闘に参加できる。敵は最大で4体同時に出現する。 「フォーメーションシステム」があり、選んだ陣形と位置により攻撃・防御力が割合増減(カンストしていても突破する。下限値は0を突破?)し、被攻撃対象率も変化。 戦闘コマンドは、通常攻撃・必殺技・リンク技・フォーメーション技・アイテム・防御・逃走の7つある。 通常攻撃の攻撃対象選択時にRボタンを押すと味方を対象にできる。サターンのみ敵と味方で攻撃モーションが変化(敵=サイレンス・グレイヴで切る。味方=ミドルキック)する。 必殺技は、EPを消費して通常攻撃より高威力もしくは敵全体を対象にした攻撃や回復・補助を行う。「熟練度」という隠しパラメータがあり、使いこむと効果が強力になる。 リンク技は、自分と自分以外の味方(自分を含めて最大で3キャラクター。誰かが毒か瀕死以外の状態異常だと使えない)のEPを消費して攻撃・回復・補助を行う技。協力した味方の攻撃力(LAPも?)も影響する。リンク技に協力した味方のターンを消費することはない。 リンク技はどのキャラクターの組み合わせでもできるというわけではなく、全部で37の技がある。 フォーメーション技は、陣形に応じた威力と消費EPの技を全員でする。ムーンと内部四戦士の組み合わせでのみ最強のフォーメーション技「セーラー・プラネット・アタック」が使える。この技は本作で最高の威力を持つと思われる。 リンク技と似ているが、発動後にまだ行動していないキャラクターもターン終了、並び順で一番上のキャラクターのみ(ムーン+内部の技は別)使用可能という点で異なる。 ゲーム開始時から所持しているアイテム「ムーンカリス」や「ムーンカリス2」を使うとムーンとちびムーンがスーパー戦士に変身する。スーパー変身するとフォーメーション技が使用不可能になるが、HPが全快して強力な必殺技とリンク技が使える。後述のメンバー組み合わせによるダメージ倍率変化にも影響する。 ゲーム中の「『防御』すると受けるダメージが半分になる」という情報は大ウソ。実際は防御力そのものを上げるため受けるダメージが大幅に軽減される。 本作の「逃げる」はボス戦でないかぎり確実に成功する。 ちなみに、逃げるのに失敗した場合、そのキャラクターに合わせた台詞が出る。 ダメージ計算式は「(自分の攻撃力-相手の防御力)×技の倍率=最終ダメージ」(*1)となっている。 ダメージのカンストは9999。プルートの必殺技「タイム・ストップ」のみ999でカンスト。 味方の攻撃のみクリティカルがある(演出は無し) 戦闘中の味方各々の攻撃力と防御力は、味方全員の攻撃力と防御力に影響される。おそらく自分自身の能力値を基準にした上で生存者の平均値で最終的な値が決まる。 攻撃と防御が150が1人+攻撃・防御10のキャラ4人パーティより、攻撃・防御100が1人+攻撃・防御50が4人パーティの方が明らかに全員の与ダメが高くて被ダメが低い。 ボスの強い技を食らうと食らうとわかりやすい。 パーティメンバーの組み合わせや戦う敵によって通常攻撃のダメージ倍率が変化する。 たとえばムーン+内部四戦士のパーティの場合、クリスタルトーキョーのザコ戦での倍率はムーンは低下しマーキュリーは上昇、ラスボス戦ではムーンの全ての(?)攻撃の倍率が高くて他の戦士の倍率は通常になる。後述のLV99の裏技プレイ時にやると分かりやすい。 ムーン+外部四戦士のパーティでラスボスに挑み、外部戦士全員がHP0になるまで全員ガードすると(条件はもっとゆるい?)ムーンの攻撃力(倍率?)が跳ね上がる(1000ダメ程度から9000ダメ以上になるほど)。バグにしては出来過ぎているので意図的に設定されたと思われる。 攻撃力と防御力が変動する「運勢システム」があるが実際には何の変化もないと思われる。運勢にまつわるウワサは多いが真相は不明。 一般的なRPGと同様に「属性システム」があるという説があるが、熟練度や後述のステータス・倍率変化があるため、本当に「属性システム」が存在するかどうかは怪しい。 評価点 LV16でスタートする裏技がある。これならRPG初心者の少女でもゲームクリアできるだろう。 LV16と言っても、元々初期LVが16のプルートを含め、全キャラのステータスが通常ではありえない値となっている。中には本来のLV16より能力値が低くなっている能力もあるが、全キャラクター共通で攻撃力・防御力・素早さがとても高くなっている。 LV99でスタートする裏技がある。ここまですれば多分どんな人でもゲームクリアできると思われる。 全ステータスが最高値になっている。必殺技の熟練度が最大になっているかは不明だが、シャボン・スプレーは熟練度がまったく上がっていないと思われる。 本作には負けイベントが1度あり、LV99の裏技をもってしても勝つことはおそらく不可能である。 アイテムを持ちこせる裏技がある。高LVスタート技と組み合わせれば、少女が通常通りのLV1スタートでプレイしてもゲームクリアできるだろう。 ラスボス戦時に装備していたアクセサリーと一部のアイテムは消滅してしまう。 「リターンのみず」という気絶回復アイテムを持っていると、スタート時にリターンの水の欄が1つ増える(ゲーム開始時から既に持っているため?)。同じアイテムは99個しか持てないが、リターンの水はこの現象によって100個以上持てる。 売却不可のムーンカリスとムーンカリス2が1つの欄に個数を足さずに、欄自体を1つ増やしている。これは後述の確実にフリーズするバグに大いに関係するため要注意。 二章以外は、ザコと全く戦わずにボスから得た経験値だけでゲーム進行に差し支えないレベルになる。 そのかわり装備・陣形・戦術をしっかりしておかないと一瞬で全滅してしまうだろう。 二章は内部四戦士が各人一人で冒険する。防御力重視+大量の回復アイテムでゴリ押しできないこともないが非常に時間がかかる。 シャボンやタイム、レベルの偏りを無視して自由にパーティ編成しても大丈夫。 低防御力キャラクターだけのパーティでも陣形と3人リンク技を上手く使えばどうにでもなる。低攻撃力キャラクターだけのパーティでもリンク技で火力を補える。 味方同士の戦闘能力バランスが良い。役割が完全に被っていることがなく、役立たずなキャラクターがいない。 ザコと戦うメリットがしっかりと残されている。レベル・熟練度上げしたほうが当然楽。高確率でアイテムを落とすので使用・売却して戦力を強化できる。宝箱からの入手個数が限られた有用なアイテムを落とすザコもいる。後述するパズルシステムも戦う意義になる。 リンク技のバランスがよい。2人リンク技は倍率が低いが、攻撃力が低いキャラクターには重要な攻撃手段。3人リンク技はいずれも強力。 フォーメーション技の使い道がある。倍率が高く、素早さを調整すれば、他のキャラクターで敵のHPを削ってからトドメを刺すという使い方ができる。この戦法はザコ1ターン撃破に有効。 レベルアップ必要EXPと獲得EXPにメリハリがありバランスが良い。積極的に強敵と戦う必要性があり、レベルの差が開きにくい。 五章の暗黒城とクリスタル・トーキョー(時空の塔の最深部も?)の出現敵がパーティのレベルに応じて変わる。 四章中盤の敵が現れるので、あまりにもレベルが低くないかぎり「ボスどころかザコにも勝てなくてゲーム進行不可能」ということはなくなる。 同じレベルでも五章本来の敵と四章の敵のどちらも出現することがある(混成はしない)。平均レベルか先頭キャラクターのレベルか確率で決まるのかは不明。 エンカウントバランスがよい。障害物に向かって移動(キー入力)してもエンカウント率が上がり、メニュー画面を開くなどの画面切り替えを行うとエンカウント率がリセットされる。 本作は地図がなく(空飛ぶ箱舟操作時はマップが見れる)フィールドがそこそこ広くて道がやや複雑だが構造自体は難しくない。このため上手く調和できている。 映画版のキャラクターも含めて新旧キャラクターが登場するにもかかわらずストーリーが破綻していない。なお、本作はエンディングが2種類ある。 + ネタバレ ラストバトル直前のイベントで、ムーンがちびムーン以外の戦士の内4人とラスボスの破壊神アプスー(反セーラーチームのオポシティオ戦士の一人であるシンが敵組織の親玉アプスーと同化した姿)と戦いに行き、残ったちびムーンたちがネオ・クィーン・セレニティたちを守ることになる。 ムーンたちがラスボスに勝利するとグッドエンド、ムーンたちが敗北したらちびムーンたちがラスボスと戦い(ラスボスのステータスは大幅に低下している)勝利するとバッドエンド。ちびムーンたちも全滅すると正真正銘ゲームオーバー。 グッドエンディングは、アプスーを消滅させ、シンたちアプスーの手下と和解し、シンの弟アンシャルが恋心を抱いているちびうさにちびうさの落し物のペンダントを渡し、ちびうさからキスされる。ラストは、ごはんの時間が来てうさぎとちびうさが家に帰る。 バッドエンディングは、アプスーを消滅させたが、アンシャルやシンたちはアプスーと関わり合わなかった運命に戻り、ちびうさたちのことは忘れてしまう。何年か経ってからでないと、アンシャルたちと関わることで再びアプスーが誕生する危険がある。ちびうさとアンシャルは町で偶然出会い、アンシャルはちびうさのことを忘れていたがペンダントを大事にしていた。ラストは、シンと一緒に楽しそうに歩いていくアンシャルを見届けたちびうさが「私もアンシャルが好きだったよ」と告白する。 魅力的なオリジナルキャラクターたち。 本作での敵組織である「ヘル・デスティニー」のオポシティオ戦士たちは、いずれも個性的な面々が揃っており、武人肌なキャラやひたすらにお馬鹿なキャラなど、愛着の湧きやすいキャラクターが多い。 敵組織でありながらセーラー戦士の一人に恋をするアンシャルや、悪の貫録たっぷりな親玉アプスーもセーラームーンシリーズらしいキャラクター性で物語を盛り上げている。 原作のみの必殺技が多数登場する。 アニメ無印セミ最終回が最後の登場だった浦和良が奇跡の復活。扱いも良く、序盤と終盤で亜美が見る「理想の夢」で亜美は浦和良と思わしき男性と結婚している。 ダーク・キングダム四天王のゾイサイトは原作とアニメでキャラクター性の違いが大きく、原作では女装して暗躍するシーンなどもあるがあくまでノーマルな男性、アニメ版では同僚のクンツァイトを愛するオカマなのだが、本作では前世のゾイサイトは原作準拠のノーマルな男性、現世のゾイサイトはアニメ準拠のオネェ口調でセリフにハートマークを付けるオカマとして描写されている。 本作のストーリーはアニメがベースだが一部で原作の要素が混じっており、四天王の設定は原作と同じ。「四天王とヴィーナスたち内部太陽系戦士は前世では恋愛関係にあった」という、原作では明示されなかったいわゆる裏設定も取り入れられている。 原作のみのザコキャラクターが登場。ゲームオリジナルザコも数種類いる。 パーティを入れ替える意義がある。リンクやフォーメーション技の存在もあるが、各人専用セリフがあるイベントが多く、特定の組み合わせでのみ発生する会話もある。 町の人たちとの会話でストーリー進行のヒント(次にどうすればよいのか)が聞ける。 ラストバトルがある場所のみ町の人からヒント(具体的な地点)が聞けないため、ラストバトル直前のイベントの会話内容(ラスボスのいる場所を言う)を覚えなければいけない。 ゲーム進行上絶対にお金を払わなければならない状況(バス運賃180円。本の値段300円)があるが、お金がなくてもストーリー進行できる救済措置がある。 神社近くのバスの運転手にバス代が足りないと言われてから神社でお参りすると祈りが通じて300円もらえる。 お参りしてもらった金でアイテムを買うことを繰り返して溜めたアイテムを一気に売れば大儲け。 ちなみにお金がなくてバスに乗れなかった直後にバス停近くの人に話しかけるとバス代が貰える。バス代がなくても「まぁ、乗っていいよ」とタダ乗りできたりする。 グラフィックが中々の出来である。 3頭身ほどにデフォルメされたキャラクター達は愛嬌があり可愛らしい。また、顔を赤らめたり黒コゲになったりと、グラフィックパターンもかなり豊富である。 アイテムやリンク技などの凝った説明文。 よくある無機質な説明文ではなく、妙にほのぼのとした面白い文章になっている。中には、ウラヌスとネプチューンのリンク技の説明文「このわざにせつめいはいらないわ」のようにニヤリとするものも。 音楽はアニメや今までのゲーム作品で登場したものやアレンジがあって、効果的・違和感なく使用されている。 操作性が良い。 本作では、Bボタンでの通常ダッシュの他に、L・Rボタンで凄まじい速さでのダッシュが可能。広い町中を移動するのに便利だが、道路を走る車を余裕で追い抜くうさぎの姿は少しシュールである。 戦闘の演出は派手なものとなっているが、演出スピードは遅い訳ではなく、テンポがよい。 問題点 本作のダメージ計算式は前述のとおりだが、必殺技どころか通常攻撃でさえ倍率が高い。結果的に攻撃・防御力が少し増減しただけでダメージ量がかなり変化することになる。 味方が味方を攻撃したときの計算式は上記のものとは異なる。敵を攻撃してもノーダメージだが、味方を攻撃したら4ケタダメージを叩き出すことがある。 フォーメーションによる攻撃・防御の増減が大きいため、攻撃型ステータスキャラ・防御型ステータスキャラを、装備品やフォーメーションでそれぞれの能力に特化させると、敵味方のダメージのインフレとデフレが発生しやすい。 マーキュリーの「シャボン・スプレー」とプルートの「タイム・ストップ」がゲームバランスを崩壊させている。 シャボンの効果は「敵一体の攻撃力を下げる」で、タイムの効果は「敵全員を2ターンの間なにも行動できなくさせる」。 シャボンは一度に一体にしか使えずダメージを与えられず重ねがけできないが、消費EPがたったの2であらゆる敵に対して確実に成功する。タイムは消費EPが12でダメージ倍率が敵味方の中で最も低いが、あらゆる敵に対して確実に成功する。(*2) コロン(全員EP全快)とトワレ(全員HP・EP全快)が高額だが無限に買えるのでタイムの連発が可能。一種類につき99個まで持てるので使いきる前には勝利しているだろう。最終的にトワレは入手できなくなるがコロンで十分。 プルートは初期ステータスがかなり低いためLVを上げてもステータスが低く、一撃でHP0になることが珍しくない。しかし、防御力が高くて打たれ強い(HPより防御力の方が重要)マーキュリーのシャボンと組み合わせると解決できてしまう。 逆にシャボンとタイムを使わなければ少々苦戦するだろう。 公式ガイドブックの袋とじにラスボス攻略法とEDのネタバレが記載されており(最終局面を迎える前にこの袋とじを開けるという禁忌を犯す者には災いがふりかかるであろう、という旨の文章が記述されている)、「どうしても勝てないなら、シャボンで攻撃力を下げてからタイムを使おう」と、シャボンとタイムが強力コンボであると公式で認めている。 戦闘終了後にEPが完全回復するので、通常攻撃をする機会が少な目。 ただし戦闘のテンポ、フォーメーション技の有用性、回復アイテムの消耗の激しさのバランスを考えると妥当とも考えられる。 入手期間限定のアイテムが多い。強力なアクセサリーを取りこぼすと確実にバトル難易度が上がってしまう。 キャラクターごとに強力な専用アクセサリーが用意されているのだが、一部のアクセサリーは入手難易度が高く、取り逃がしてしまったキャラクターは二軍落ちしかねない。特に、パーティー加入率の高いセーラーちびムーンの場合ほぼお荷物確定である。 魔界樹編のキャラクターが登場しない。ただし、ボス「だいそうじょう」と「ディメンジョン・ツリー」は魔界樹編に登場するヤーマンダッカと魔界樹と同じ姿である。 デス・バスターズ幹部のウィッチーズ5とカオリナイトの扱いが酷い。 ウィッチーズ5は少し喋ってバトルして死ぬ間際にもう一度喋るだけ。固有必殺技持ちはユージアルのみ(しかもファイヤーバスターではなくユージアルバスター)。 直前のボスのオポシティオ戦士たちと比べて、低ステータス・平凡な特殊技・連戦ではない(途中で回復も買い物もレベル上げもセーブもし放題)とゲーム的にも冷遇。 そのかわりゲーム序盤に戦うミストレス9より断然強く、ウィッチーズ5のあとに戦うボスはおそろしく弱い上にザコ戦のBGMで、そういう意味では少しはよい扱いをされている。 カオリナイトはミストレス9より強い戦闘力だが、土萠教授に呼ばれていきなりバトルとなるだけで戦闘画面にしかグラフィックが存在せずセリフが一言もない。 背景に隠れた宝箱、ツボやタルの中に隠されたアイテムが多い。町人から隠しアイテムの存在があると聞ける以外はまったくノーヒント。 ツボやタル、視界が遮られる場所が多く、調べていると時間がかかりまくる。すべてのアイテムを自力で探し出すのは困難。 隠しアイテムの中で店で買えるアイテムは1個だけで、それ以外は非売品かつ有用なアイテムばかり。 「パズルシステム」があり、パズル(のピース)を集めて一枚絵を完成させると、終盤である人物に話しかけると強力アクセサリーを10個貰えるが、パズル完成難易度が高い。 パズルは戦闘勝利時にランダム・特定の人物と話すか設置物を調べて入手。戦闘での入手可能数には限界があり、戦闘以外で最低2つ入手しなければ完成できない。 終盤には隠しパズルが1つもないので、ストーリーを進行させ過ぎると完成は不可能。しかし前述の通り隠しアイテムを見つけるのは厳しい。 バグがやや多い。無害・有害問わず、普通にプレイすれば発生しないor気付きにくいものがほとんどだが、中には必ずフリーズするバグがある。 所持アイテムの欄が一定以上のときに戦闘中にアイテム画面を出すと100%の確率でフリーズする。 アイテム持ちこし裏技をすると売却できないアイテムの欄が増える。つまり本作をやりこめばやりこむほど、絶対にフリーズするバグに確実に接近していく。 一部のテキストがおかしい。 オポシティオ戦士たちとの最終決戦で各人「ヘルズ・○○」という必殺技を使うが、炎を操る戦士ネルガルのみ「ヘルズフ・レイム・バード」という変な必殺技を使う。アイテムの効果説明文がフィールド中とバトル中で違う、ルナが「今なら敵もいないわ」と言うが普通にエンカウントする、ザコの総称(妖魔、ドロイド、ダイモーン)を間違える、はるかが敵組織の親玉の名前を聞いただけで女だと決め付ける(実際女だが、名前の元ネタとなった神は男性神なので名前だけで女性と判断することは難しい)、「ちかずけない」といったセリフやアイテムの一つに「リターンかんずめ」がある(正しい日本語としてはちかづけない・かんづめである)などいくつかある。 音質が悪い。『セラムン(SFC)』『セラムンR(SFC)』の流用曲は本作は本作で味があるが、比べるとあきらかに音質が劣っている。 一部のボイスが『美少女戦士セーラームーンS 場外乱闘!? 主役争奪戦』の使い回しと思われる。 説明書での地味なネタバレ。 ゲーム中盤までは明かされないラスボスの顔や、とあるモンスターのイラストがキャラクター紹介の項で普通に描かれてしまっている。 総評 RPGとしての難易度自体は、一部に難度の高い場面があるが、低レベルでも戦術を工夫すれば十分クリア可能で、レベル上げすれば誰でもクリアできるため全体としては安定感がある。 シャボン・スプレーやタイム・ストップもRPG初心者への配慮と考えられる。 操作性や戦闘演出テンポなどに致命的な欠点は無く、総合的なRPG要素は良好である。 シナリオ面でも『セーラームーン』のキャラゲーとしての評価は高く、セーラームーンを見て育った人には一度はプレイして欲しい一作である。 余談 取扱説明書に「カイネスのぼうし」などの実際のゲーム中では確認できない(カイネス村に行っても、ショップに売っていないどころか帽子の話しさえ聞けない)情報がいくつか掲載されている。 データ上には入手不可能なアイテムやアクセサリが数種類存在するが、カイネスの帽子のデータは完全に消去あるいは変更されたようだ。 北極の宮殿で王様の両隣に宝箱が1個ずつ置いてあるが、宝箱にたどり着く前にイベントが発生して、モブキャラたちに宝箱までの道をふさがれてしまう。 後述のデバッグモードで確認すると、中身は「せいなるみず」と「リターンかんずめ」のようだ。 ゲーム中のあちこちで冒険の助けとなる旅の商人・クスリ売りと遭遇するが、その出現場所が真夜中の学校内だったり敵の空中要塞内部だったりと突っ込みどころ満載でよくネタにされる。 電源オン直後のイントロ中に隠しコマンドを入力するとレベル99になる裏技は有名だが、同じくイントロ中に特定のコマンド入力によりデバッグモードに移行する裏技の知名度は低い。 この裏技により、任意のマップへの移動、座標の表示、イベントフラグの管理、障害物を無視しての通行が可能となる。
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鉄人 【てつじん】 ジャンル ファーストパーソンシューティングゲーム 対応機種 3DO Interactive Multiplayer 発売・開発元 シナジー幾何学 発売日 1994年4月9日 定価 8,900円(税別) 判定 クソゲー ポイント 独特なサイバーパンクの世界観不自由な操作性に、コマ送り映像完全に技術力不足 概要 ストーリー システム 評価点 問題点 総評 余談 概要 『GADGET』で有名なシナジー幾何学によるFPS。自称、ARPM(アクションロールプレイングムービー)。 ジャンル故にか、ムービーの作りには特に力が入っている。 ムービーやBGMで、全体的に異様な雰囲気を感じさせるゲームである。 もっとも、肝心のゲームの中身はしょぼ過ぎる出来なのだが……。 ストーリー マッドサイエンティストの機械と人間を同化させる実験「同化プロセス」の実験体にされてしまい、「鉄人」というロボットに改造されてしまった主人公。 目覚めた後、マッドサイエンティストは自分に会いに来いと告げる。 彼の言葉に従い、主人公はビルの最上階を目指すのだった。 システム ダンジョン内を巡り、敵ロボットを撃破しつつ、最上階を目指すのがゲームの目的。 システムは機能の乏しいFPSと言える。 前後左右の移動・旋回・水平移動ができるが、上下には向けず、ズームもできない。 武器は数種類あり、常時選択可能。 ダッシュはオプションを装備する事によってできる。 ダンジョン内にはアイテムが落ちている。以下、その効果。 弾倉 武装に関わらず、30発分の弾を補充する。 シールドエネルギー 減少したシールドを補充する。 ダーボブースター 高速移動ができるようになる。ただし有限。 武器 各種武装を増やす。 シールドエネルギーの増設タンク 被ダメージの限界が上がる。 セーブはサプライルームで行う。 ここでは全ての武器、シールド、ターボブースターの補充が行われる。 評価点 独特なサイバーパンクを匂わせる世界観。 各所に挟まれるムービーはサイバーパンク性が強く、なかなか出来がいい。 全体的に暗い映像、奥がよく見えない暗いダンジョン、機械のランプだけが光る壁などは重苦しい雰囲気を出している。 特にオープニング、スタート時、エンディングの各ムービーは前衛的ですらある。 『帝都物語』の加藤保憲役などで知られる嶋田久作氏が出演しており、その淡々とした話口調は本作の纏う雰囲気を象徴している。 BGMも禍々しい曲調で、サイバーパンクに合う出来になっている。 敵の攻撃は階が上がる程に多彩になっていく。 種類は多く、プレイヤーを楽しませてくれる。 ギミックも豊富。 例えば、一方通行の廊下や扉、破壊しないと進めない扉、動く壁、地雷、壁に仕込まれた防衛機構などが存在。 階を上下する事で道を切り開くギミックもあり、同一フロアをただひたすら進むだけの作りにはなっていない。 難易度は低め。 サプライルームで全補充できるため、こちらの状態には割と余裕がある。 ゲーム再開後や階を移動した後もアイテムが復活するので、補充は比較的楽。ただし、敵も復活してしまうが。 問題点 様々な試みやゲーム性を全て台無しにする、かなり未熟な作り。 ゲーム中の微妙なグラフィックと酷い処理落ち。 フレームレートが低過ぎて、もはやコマ送り状態。 しかも敵が出るどころか、ドアが見えてくるだけで処理落ちし出す。 右ボタンを1回押すと15度右に旋回するシステムで、6回押すと90度右に旋回するのだが、後者の時はカタカタと15度ずつ動く。なんと全てがこの調子。 主人公はムービーのみの出演のためかリアリティのある姿になっているが、敵のデザインは投げやり過ぎて擁護不可能。 四角い箱に足がついただけ、ただの三角錐、四角い箱が二つ重なっただけなど。ボスはもう少しマシだが、大差ない。ハードスペックなどの関係か、丸みを感じるものがほとんどなく、こういった少ないポリゴンを組み合わせただけというものが多い。 唯一まともなのは、屋上がステージなので壁や天井のポリゴンが無い為か、余裕があったと思われるラスボスくらいのもの。 劣悪すぎる操作性。 複数の移動ボタンを同時に押すと主人公の動きが停止してしまう。このため、移動しながらの旋回や斜め移動などが全て不可能。 後方移動以外では敵を視界に捉えながら攻撃をかわす事ができない。つまり、攻撃をかわすと敵を見失う事になり、特にボス戦では泣かされる。 また、壁に対して斜めの状態で敵と壁に挟まれると、旋回して壁に対して垂直か水平になるまで逃げられない。この間、攻撃され放題。 旋回する時は15度ずつなので、中途半端な角度に敵が位置すると狙いが付けられない。 当たり判定がかなり適当。敵によっては照準を合わせても当たったり外れたりする。 攻撃が効かなかった場合のエフェクトがなく、外れたのか効かなかったのか分りにくい。しかも、特定の攻撃しか効かない敵もいるため困りもの。 ゲーム展開が単調。 道の繋がりが直線、直角のみで構成されており、どの階も『Wizardry』のダンジョンの様な代わり映えの無さ。 高低差も傾斜も階段もないが、通路の幅は存在する。 オートマッピングもないため、フロアマップを見つけるまでは現在位置が分らない。ダンジョンの背景に加え、同一フロアの壁は狭い通路と拾い通路以外は同じテクスチャーとなっているために迷いやすい。 各種ギミックはあるのだが、あるだけと言う感じで活かし方に工夫がない。 処理落ちが激しいためかザコ敵の出現も単体が多く、次々と敵を打ち倒す爽快感はない。 AIも出来が悪く、よく角で引っ掛かっている事がある。 総評 前衛芸術かというような、独特の雰囲気を纏ったFPS。 しかし、ゲームとしては技術もアイディアも不足しており、同じFPSのSFC版『DOOM』にすら遠く及ばない、本当に32bit機のゲームなのかと疑いたくなる出来。 クソゲーには違いないが、アートの心意気が強いために不思議な印象のあるゲームである。 余談 翌年に純粋な続編である『Tetsujin RETURNS』が3DOとWindows95でリリースされた。 こちらは前作にあった問題点がほとんど解消されており、無難に遊べるゲームとなっている。 逆に前作と比べると、アートの個性が退化してしまったと言われる。
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ノーモア★ヒーローズ 【のーもあひーろーず】 ジャンル 殺し屋アクションアドベンチャー 対応機種 WiiNintendo SwitchWindows(Steam) 発売元 マーベラスエンターテイメント 開発元 グラスホッパー・マニファクチュア【Switch/Win】Engine Software 発売日 【Wii】2007年12月6日【Switch】2020年10月28日【Win】2021年6月10日 定価 【Wii】7,140円(税込)【Switch/Win】2,178円(税込) プレイ人数 1人 レーティング Wii CERO D(17才以上対象) Switch CERO Z(18才以上のみ対象) 判定 バカゲー ポイント Wiiリモコン+ヌンチャクの爽快アクションおバカ要素が満載なイカれ気味の世界観退屈なワールドマップとやや単調なゲーム性 ノーモア★ヒーローズシリーズ初代 / 2 / Travis Strikes Again / 3 概要 ストーリー システム 評価点・おバカな点 賛否両論点 問題点 総評 移植 余談 俺様の物語が始まる 概要 2007年にマーベラスエンターテイメントから発売されたアクションゲーム。 開発は、『シルバー事件』や『killer7』などで知られ、極めてアクの強いゲーム性またはゴア演出を得意とするグラスホッパー・マニファクチュア。 監督・脚本は上記作品同様に須田剛一氏。キャラクターデザインは『勇者30』や『ファイアーエムブレム 覚醒』でお馴染みのコザキユースケが務めている。 本作はビーム・カタナと多彩なプロレス技を駆使し、10人の上位ランカーたちと死力を尽くして激しいバトルを繰り広げる殺し屋アクションである。 主人公は米国暗殺者協会(UAA)第11位の殺し屋に認定されたトラヴィス・タッチダウン。 アメリカ西海岸を彷彿とさせる街・サンタデストロイを舞台に、さまざまなミッションを受けつつ、全米殺し屋ランキング1位を目指していく。 これまで須田氏の作品はADVがメインで、アクションと言えば独自性の強いASTG『killer7』ぐらいだった(*1)。 しかしキャラゲーでは『サムライチャンプルー HIPHOPサムライアクション』や『BLOOD+ ONE NIGHT KISS』と言ったチャンバラもの(*2)も手掛けている。 本作はそれらのような激しくスピーディーなアクションを氏の作る世界観で染め上げた意欲作と言える。 ストーリー 見知らぬ、マブイ女と朝まで飲んじまったのがキッカケだった。 あれよあれよという間に全米殺し屋ランキング11位に認定されちまった俺…。 早い話が、ランキング1位を目指せってことらしい。 俺の町、俺のビーム・カタナ、俺のライバル、俺の女。 こうして、イカれた俺の"殺し屋物語"が始まった。 (公式サイトより引用) システム ゲームシステムは極々単純。時折ミニゲームのような戦いが挟まれることもあるが、基本はWiiリモコンとヌンチャクでビーム・カタナを手に群がる敵をなぎ倒し、各ステージボスの撃破を目指す。 Aでビーム・カタナによる斬撃、Bで打撃攻撃を繰り出す。ABそれぞれ長押しでタメ攻撃も可能。両方ともWiiリモコンが上向きか下向きかによって上段攻撃と下段攻撃に変化する。 Bを2回押しでスープレックス投げ技、投げでダウン中の敵の上に立ってAでダウン攻撃、Zでロックオン&ガード、ロックオン中に十字ボタン入力で回避、①ボタンでビーム・カタナの充電モード移行、充電モード中にWiiリモコンを縦に振っての充電が基本操作となる。 相手に瀕死級のダメージを与えたり気絶している敵への投げ技に成功すると画面内にコマンドが指示され、時間内に成功させれば大ダメージを与えられる。 また、トラヴィスのビーム・カタナと敵の攻撃がかち合うと鍔迫り合いが発生。Wiiリモコンをグルグル回転させて押し勝てばビーム・カタナでの追撃チャンスが発生する。 画面右側にはビーム・カタナの電力ゲージが表示されている。攻撃を当てたりガードが発生する度に減少し、ゲージが無くなるとビーム・カタナでの攻撃とガードが行えなくなる(*3)。 敵を倒すとスロットが回り、全て同じ絵柄が揃うと「ダークサイドモード」が発動。画面右上の虎がゴールするまでの間、トラヴィスが何らかの強化を得ることができる。 次のランカーに挑戦する為にはUAAにお金を振り込む必要がある。お金はサンタデストロイの町の各地で受注できるミッションをこなすことで貯めることができる。 その他、お金を使ってトラヴィスのコスチュームや「ナオミ研究所」での新装備の購入、「サンダー龍興業事務所」でのトレーニングによるステータス強化に充てることもできる。 ミッションは「職業不安定所」で紹介される表の仕事・バイトミッション、「K-ENTERTAINMENT」での裏の仕事・殺しのミッション、町中の各地に点在し、一撃食らったら即終了のフリーファイトミッションの3種類がある。 バイトミッションはミニゲーム形式、殺しのミッションはアクションステージとなる。 後者の方が報酬が大きいが、こちらを受けるにはまず表の仕事(*4)をこなして信用を勝ち取る必要がある。殺し屋とて最初から荒稼ぎなどできず、まずは地道にコツコツと働かなければならないのだ。 エントリー料を振り込むとイベントが発生し、ランキング戦の会場(アクションステージ)の場所が指示される。 会場に着いてもすぐにランキング戦には挑めず、群がる雑魚を切り伏せながら進み、ランカー(ボス)の待ち受ける最深部を目指さなければならない。 ランカーを倒すとトラヴィスのランキングが上がり、さらに上位のランカーに挑戦できるようになる。これを繰り返してゲームを進める。 サンタデストロイの町はオープンワールドになっており、トラヴィス愛用のビッグスクーター「シュペルタイガー」での移動が基本となる。 スピードを出しすぎて壁にぶつかると転倒してしまうがペナルティなどは無く、トラヴィスもシュペルタイガーも全くの無傷で何事もなかったかのようにすぐ再発車できる。 一般人も歩いているがシュペルタイガーが近くを通ると驚く程度で、『GTA』などのようにこちらから危害を加えることはできない。 収集要素は上述した衣装の他、飲んだくれ親父のロビィコフから教えてもらえる「スペシャル技」やランキング戦のステージに隠されている「トレーディングカード」の他、様々なお宝が手に入る「UAA埋蔵金発掘」がある。 「スペシャル技」はボタン入力で繰り出す新技や「ミニマップ上に敵の位置が表示される」「ステージクリア時のボーナスが増える」などと言ったもので、取得すれば有利に進められる(*5)。 評価点・おバカな点 簡単な操作と爽快な戦闘 操作性は単純ながら、剣をズバズバ振って敵を倒していく爽快感は効果音や演出なども相まってかなりのもの。レーティングはCERO D(17歳以上対象)だが、倒した敵は炭になって消え去るだけなので出血耐性がない人も安心。ムービーでも同様で、倒されたランカーはやはり炭化していく。 ただし、これは日本含む一部の国の規制によるもので、無規制の北米版では夥しい血しぶきに首チョンパや縦に真っ二つなど、激しい流血表現とゴア描写があり、断末魔も「ヴァァァァァッ!!」と言った感じの壮絶なものが追加される。日本でも後の他機種への移植版(後述)や後のHDリマスター版では規制が取り払われている。 『killer7』や後の『LET IT DIE』のようにオーバー気味に作られており、死体は金をまき散らしながら爆発するように消滅するので、リアルさはそれほど無いが。 ともあれ、炭化表現は本作のハチャメチャな世界観にマッチした演出となっており、須田氏も「無規制のゴア表現が決定版なのか」という質問に対しては肯定せず、この演出が「よりエキセントリック」で好きだと語っていたほどである。 雑魚相手の戦いはさほど考える必要もないが、ボスであるランカーは独自の戦法をとってくる上に攻撃が通るタイミングが限られているため、一筋縄ではいかない。 とはいえ最低難易度のSWEETならゲームに不慣れな人でも然程詰まることなくクリアできる程度の難易度。一方で最高難易度のBITTERだとチュートリアル扱いの初戦ですら完全に殺しにかかってくる難しさになる。難易度によるストーリーの違いは無いのでプレイヤーの力量に合わせたプレイができる。 敗北してもステージ道中やボス戦前のチェックポイントからコンティニューが可能。その際には画面をぶった切る演出が入り、再挑戦にも気合が入る。 グラフィックは独特の陰影が印象的なアメコミ調で、ボイスも全て英語。『killer7』をより洗練させたような形で、世界観に良く合っている。 説明書もアメコミ形式と言うこだわりっぷりである。表紙にいきなりランカーの1人であるアメコミヒーロー風キャラがデカデカと大袈裟な英語書き文字と共に描かれているのも意表を突く。 随所に挟まれるメタ発言やコミカル要素、下ネタがアメコミ調のグラフィックやハードな世界観と組み合わさってカオスな様相を醸し出している。 過去の須田作品(とりわけ『花と太陽と雨と』と『killer7』)でも時折見られたバカゲー要素をひたすら突き詰めた作品と言える。 OPムービーから「テレビの前の兄弟、そろそろAボタンを押してくれ」という発言が飛び出す、「電車の中で居眠りしたら何故か夢の中でミニゲームが始まる」「レーティングの問題があるからシーンを早送りにする」など。 まずゲームを開始すると、主人公が今回の戦いに身を投じた経緯と言った導入部を全て「前回のあらすじ」の如くモノローグで流すという時点で常軌を逸している(*6)。 セーブポイントはトイレ。セーブから抜ける際はちゃんと水を流す。 この時便座に座るトラヴィスを前から映す構図となるが、セーブを行うかの選択肢が股間を上手に隠すように表示される。 メニュー画面やステージ中のアイコン、アイテム表示は『勇者30』の如く粗い平面のドット絵で描かれるのもまたシュール。 ダークサイドモードは、例えばバッタが揃えばストロベリー・オン・ザ・ショートケーキが発動し、トラヴィスが超サイヤ人褐色肌の金髪の姿に変化。スピードが大幅に強化され、敵を次々と撃破できるようになる。 「ロビィコフにスペシャル技を教えてもらうには7つのロビィコフボールを持って行く必要がある(*7)」「町中でBボタンを押すと物凄く速く走れるスペシャル技 "Memory of Child"」「ビーム・カタナ充電時は画面内のトラヴィスも股間のあたりでビーム・カタナを一生懸命縦に振る」「街中のゴミ箱からお金や衣装が入手できる」「ノーマルエンドのスタッフロールがどう見てもス〇ー・〇ォーズ」など、挙げだせばキリがない。 敵ボスであるランカーも一筋縄ではいかない個性派揃い。 明らかに浮きまくっているデザインのキャラも居るのだが、主人公自身が重度のオタクということもあり、妙に調和している。 いかつい男ばかりではなく、老若男女イロモノと、様々なランカーが待ち受ける。寧ろ、いかにもな「殺し屋」のイメージに沿ったキャラなどほとんどいない。 ふざけただけではなく、須田氏特有の複雑且つセンスに溢れた深みのあるシナリオも健在。 過去の須田作品に比べれば解り易い作りで、どっからどうみても本作がバカゲーであることは疑いようはないのだが、殺し屋同士の会話は部分的に取り出してみるとハードボイルドさや殺し合いへの虚しさ、殺しの道を選んだ者の業の深さを感じるセリフもあり単にギャグ連発というわけでもない。本作もまた、血の海を全力疾走する須田ワールド全開と言えるだろう。 ラストバトルでは須田作品御馴染みの、主人公やプレイヤーの「当たり前」を覆す衝撃の展開が待ち受ける…が、そこはやはり『ノーモア★ヒーローズ』で、ナンセンスなギャグも織り交ぜ、シリアス一辺倒にはならない独特の味を醸し出している。 極め付けは条件を満たした際に戦える真ラスボスとのやり取りと、その後の真のエンディング。最後の最後までプレイヤーを笑いと困惑で翻弄したまま、無茶苦茶な結末を迎える。このノリは完結まで徹底されている。 ゲーマーをうならせる演出も多い。 ボス戦前にクライアントから電話がかかってきてトラヴィスが電話を耳にあてるが、この電話の音声はWiiリモコンから再生される。 そのため、プレイヤー自身もトラヴィスと同じ姿勢で、同じ音声を聞くような恰好になる。スピーカーつきゲームコントローラーの使い方としては特筆ものだろう。 他の例に漏れず、日本国内版はゴア表現が規制されているが、それを逆手にとってむしろ残虐な演出として逆転させている珍しい例がある。 ショウステージが舞台となるボス戦の勝利後カットシーンにおいて、ボスが回転ノコギリで真っ二つに刻まれることになるのだが、海外版ではきっちり斬られるところまで映す。 それ対し、日本国内版はボスの悲鳴とともにステージの幕が閉じるようになっている。想像の余地で却ってグロい印象を与える粋な演出と言える。 賛否両論点 最強装備が非常に高額 本作の最強装備は3位撃破後に購入可能になる「椿Mk-Ⅲ」にカスタムの2種類を終えた物なのだが、それまでの装備の必要費用が25万程度だったのに対し、武器本体とカスタムパーツを全て購入するには160万という大金が必要になる。 本体だけで48万が必要。出力アップパーツは10万だが、電力無限化のカスタムパーツが99万も掛かってしまう。ちなみに全武器の入手がトゥルーエンドの条件でもある。 一応陳列可能タイミングと同時に解放可能になる「稼ぎやすい殺しミッション」もあるが、そのミッションの出現条件が「サソリ駆除のアルバイトで銀以上」という、慎重さが求められる内容(*8)になっている。また、このミッションでもそれなりに反復は必要。 無論、性能面は苦労に見合っただけの性能がある。 通常攻撃は若干隙があるが、トドメ攻撃は縦方向の物ですら巻き込み性能が高く(*9)、下段溜め攻撃とそこから派生する連撃は早い上に広範囲、さらに溜め攻撃の仕様でモーション中無敵&ガード不可(*10)と、全パーツを入手した後の性能は正に「最強」と言うほかない。 また、電力無限パーツを入手しないなら60万も必要無い。無くても充分強く、トゥルーエンド到達も可能なので、ここはもうやり込みの域だろう。 問題点 サンタデストロイの町がオープンワールドである意義が薄い 特に序盤はできることが少ないため、わざわざオープンワールドにする必要があったのかと感じることが多い。 仕事を受けた後の現場までの移動(帰り道含む)をプレイヤーが行わなければならない点や、セーブポイントであるトイレが自宅とランキング戦のステージにしか無い点も退屈さを助長させている。 一応帰り道に関しては「トラヴィスが川や海に突っ込むとシュペルタイガー共々拠点に戻される」という仕様があるので、一仕事終えたら大海原へと身投げすればショートカットできるが、この仕様は説明書などに記載されていない裏技(*11)である。というかこんなものが正規であってたまるか。 もちろん行きは自力なのは変わらず、水場がない場所ではこのテクニックが使えないため根本的な解決には至らないが。 ミッションも失敗時はすぐに再挑戦できるが、達成した後で再挑戦したい場合はまた受注に戻らなければならない。この往復が地味に面倒である。 特に「バッティングで敵を倒せ」というミッションは何度も挑戦してコツを掴む必要があるにも拘わらず、1回のミッションで挑戦できる回数は僅か3回なのでその都度往復が必要であり、練習も一苦労である。必須ではないとは言え、ゴールドのコンプリートを目指す人にはきつい。 新武器の陳列条件が分かりにくい その条件と言うのが「ナオミに特定のアイテムを渡し、リアルタイムで10~20分後に再び研究所を訪れる」というもの。 「リアルタイムで時間が経過した後」という条件が具体的に示されない事もあり、他の行動をしに行ったまま忘れてしまうユーザーも。 良くも悪くもゲームの流れが単調 本作はランキング戦 → 何度もミッションをこなしてお金を貯める → ランキング戦という流れを繰り返していく内容になるため、上述した内容もあってストレスが溜まりやすい。 ボスまでの道のりは群がってくる雑魚を斬り伏せていくだけ。時折、ステージ特有のギミックやイベントも挟まるが、基本やることは同じなので単調さを解消できているとは言い難い。結果、ゲーム全体で見ると濃いのはボス戦ばかりということに。 開発陣も自覚していたのか、後半になるとステージが短くなったりミニゲーム的な演出だけで大部分を占めたりなどで、まともなアクションステージがほとんど無くなっていく。 テンポは良くなるが逆に言えばすぐに話が進んでしまう。逆にエントリー料や武器代、トレーニング代の高騰でバイト関連に掛ける時間は増えていく。 ダークサイドモードはイベントが発生すると途切れてしまう。 そのため、周囲の敵を全滅させたタイミングで突入すると完全に無駄に終わる。運が悪いとそんなケースばかりという事も。 セーブデータは複数作れるが、ゲーム起動時は強制的に最新のセーブデータからの再開になり、どのデータから再開するかは選択できない メニューの「DATA」の項目から選択できるのだが、普段あまり使う機会がない上に場所が分かりづらいこともあり、トゥルーエンドを見ずにノーマルエンドでクリアデータを作ってしまった際に絶望してしまうプレイヤーも。 しかも、何故か本作はエンディング後のクリアデータ作成がキャンセルできない。セーブ画面を抜けるにはクリアデータをどこかにセーブするか、ゲームを終了するしかなく、前述のような事態になりやすい。特にクリア前のデータを全て上書きしてしまった場合は尚更。 ステージ中では収集要素であるトレーディングカードが存在するのだが、これがプロレスラーのマスクというマニアックなもの。 須田氏が熱狂的なプロレスファン(*12)であり、須田作品には必ずと言っていいほどプロレスネタが盛り込まれているが故だが、プロレスファン以外にはイマイチ収集意欲が湧かない。 次回作ではトラヴィスがハマっている萌えアニメ「ビザールジェリー」グッズが集められるようになった。一方で別の問題も発生したがそれは当該記事にて。 Wiiリモコンの電池消費が激しい リモコンを振るう動作の入力時にリモコン側からも音が出るのだが、その振るう機会が多いせいでリモコンの電池消費が他のソフトに比べて結構早い。 モーテルの階段を降りた直後にカメラがトラヴィスの背後に回るため、モーテルの階段付近の操作性が悪い。 乱戦になると処理落ちが発生する。特に狭い空間で多人数を相手取るタイプの殺しのミッションで顕著。 総評 ゲーム全体の流れは単調ながらも戦闘の爽快感は抜群で、本作が放つ独特の魅力もあり、虜になったユーザーは少なくない。 決して万人にお勧めはできないものの、世界観やグラフィック、本作独特のおバカ要素が気に入ったのなら是非遊んで頂きたい一作である。 移植 PS3 / 360版『ノーモア★ヒーローズ 英雄たちの楽園』 2010年4月15日に発売されたHDリマスター版。移植を担当したのはフィールプラス。 グラフィック向上はもちろんのこと、中井和哉氏(*13)らによる日本語吹き替えの追加、ボス戦のデモシーンのギャラリー機能、スロットで得た必殺技のストック機能などが追加された。 しかし、極長ロード&フリーズバグ&音ズレ地獄という有様(*14)であり、結果として2010年クソゲーオブザイヤー据置部門にノミネート。最終的に選外となったが、次点になってもなんらおかしくない代物であった(参照)。 また、Wiiリモコンの直観操作による爽快感がコントローラーのスティック操作になったことで失われてしまい、テンポの悪い動作を雑魚敵1体を倒すたびに毎回行わなければならなくなった。 さらに、街の北側の区域に行けなくなっており、マップが狭くなっている。ロード時間の速度向上のために削除したそうだが、むしろ長くなっているのでもはや劣化としか言いようがない。アプデも行われたが、対応されたのは音ズレバグのみ。そこだけ直されても…。 なお、PS3版のレーティングはWii版同様CERO Dとなっているが、360版は表現が海外版準拠のためレーティングがCERO Z(18歳以上のみ対象)に上がっている。 PS3版『ノーモア★ヒーローズ レッドゾーンエディション』 2011年7月21日発売に発売されたHDリマスター版。表現が海外版準拠となりレーティングがCERO Zに上がっている。 『英雄たちの楽園』で問題になったロード時間やバグ等の諸問題は修正され、さらなる追加要素も実装されている。また、PS Moveに対応しておりWii版同様の直観操作による爽快感が味わえる。 一方、こちらは日本語吹き替えが廃止されWii版同様に英語音声+日本語字幕となっている。なお、シリーズで日本語吹き替えが実装されたのは前述の『英雄たちの楽園』のみとなっている(*15)。 ちなみに、海外ではこの『レッドゾーンエディション』が、『No More Heroes Heroes Paradise (英雄たちの楽園)』として国内同様PS3版のみ発売されている。 なお、『レッドゾーンエディション』限定のDLCとしてキャラクターのモデルやモーションを鑑賞可能な「ビューアーモード」があり、そこではシルヴィアの全裸を見ることができる(*16)。配信終了につき現在は入手不可。 Switch / Win版『No More Heroes』 シリーズ新展開に合わせ、続編と共に発売された久しぶりのHDリマスター版。 Switch版は2020年10月28日にダウンロードソフトとして配信開始。パッケージ版は翌年8月27日に発売された『3』の限定版にのみ付属している。 移植は同じく須田作品である『killer7』のWin版移植を担当したオランダのEngine Softwareが担当している。 海外向けリマスターのローカライズであるため、タイトルにもお馴染みの『ノーモア★ヒーローズ』の表記が無い。 必然的に表現も海外版準拠であり、国内任天堂版では初のCERO Z扱いの移植となっている。 Joy-Conを使った体感操作への対応及び解像度の向上が行われており、常時60fps化による滑らかな挙動とPS3/360版とはうってかわって完璧な仕上がりとなっている。 価格も2,000円程度とお求めやすい。今からプレイするならこちらがオススメだが、無規制なので残虐表現に耐性の無い人は注意。 ただし、あくまでオリジナル版準拠で『英雄たちの楽園』『レッドゾーンエディション』の追加要素は無い。 2021年6月10日にはWin版がSteamで配信開始された。 余談 本作以降、須田氏の作品は『ロリポップチェーンソー』『KILLER IS DEAD』『月極蘭子のいちばん長い日』など、ぶっ飛んだ世界観のバカゲーに吹っ切れた作品が多くなっていく。 真のエンディングのラストでは、ヒロインのシルヴィアが「続編はないよ。エヘヘ」と言って終わる…と思いきや、最後にはデカデカと思いっきり「TO BE CONTINUED」と表示される。どっちなんだと突っ込んだプレイヤーは数知れずだろう。 実際は続編『ノーモア★ヒーローズ2 デスパレート・ストラグル』が発売されることになる。当初より本シリーズは3部作の構想だったらしく、やはり後者の方が本気だったようだ。 なお、『英雄たちの楽園』では『2』が既に北米で発売済みのためか「続編はないよ」の台詞が「ねえ、君。運が良ければまた会おうね」に変更されている。 Switch版はオリジナル準拠であるため、既に『2』も『TSA』も存在するにも拘わらず、そしてSwitch版『2』と同時発売にも拘わらず、「続編はないよ」に戻っており、完全にツッコミ所の大嘘になってしまっている。だがそれすらネタと思わせるのが『ノーモア★ヒーローズ』である。 同じく須田作品の『花と太陽と雨と 終わらない楽園』にて、「ホテル内の忘れ物51個を全て入手」「万歩計で51万歩以上カウントする」という条件を達成すると、トラヴィスの衣装が入手できる。 『戦国BASARA3』及び『戦国BASARA3 宴』にて、『英雄たちの楽園』でトラヴィスの吹き替えを担当した中井氏が演じる伊達政宗の第5武器に、ビーム・カタナとシュペルタイガーがデザイン元になった「暴走無頼剣」がコラボ装備として登場した。 攻撃力こそワンランク上の武器があるものの、属性が付与されているのに加え、ダッシュ時の速度にプラス補正がかかるという専用の仕様がある。 オリジナル版のみ「シャイニングスパイラルウンコ」の空耳で話題になった、元気ロケッツの「Heavenly Star」のPVが収録されている(*17)。 自宅で観ることができる他、作中でもナオミ博士の研究所などで「Heavenly Star」が掛かっているシーンがある。
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金田一少年の事件簿 星見島 悲しみの復讐鬼 【きんだいちしょうねんのじけんぼ ほしみとう かなしみのふくしゅうき】 ジャンル アドベンチャー 対応機種 セガサターン 発売元 ハドソン 開発元 メトロ 発売日 1998年1月15日 定価 5,800円 レーティング セガ審査 全年齢推奨 判定 良作 金田一少年の事件簿シリーズリンク 概要 ストーリー 特徴 評価点 賛否両論点 問題点 総評 余談 概要 人気推理漫画『金田一少年の事件簿』を原作とするアドベンチャーゲーム。プレイヤーはお馴染みの金田一一…ではなく、犯人。 「殺人を完遂させて復讐を遂げるのが目的」という推理ゲームの中でも類を見ない異色作なのである。 その異色さは「このゲームは犯罪を助長するものではない」という警告文がCDケース・説明書・ゲーム開始時の3か所に記載されていることからも伝わるだろう(その割にレーティングは「全年齢推奨」だが)。 ストーリー 人気の絶頂にあったアイドルが「事務所社長の息子との密会」というスキャンダルで失脚。 アイドルのマネージャー「立花由布」も、真相を探るさなかに謎の転落死を遂げた。 警察は由布の死を自殺と断定したが、そのことに不審を抱く者が2人いた。 1人は捏造スキャンダルを仕掛けられた張本人であり、由布の親友でもあった元アイドル「桂木なお」。 もう1人は由布の婚約者だった「阿佐桐卓也」。 復讐を決意した2人は関係者が集まるレジャー施設「星見島」でその機会をうかがうが、そこにはかの名探偵の孫「金田一一」とその仲間たちが居合わせていた…。 特徴 基本的には選択肢を選びながらシナリオを読む「アドベンチャーモード」でゲームを進めていくが、殺害シーンや逃走シーンでは「リアルタイムサスペンスモード」なるアクション要素が強いミニゲームをすることもある。 主人公は桂木なお(初級編)と阿佐桐卓也(上級編)の2人 シナリオは完全にパラレルで独立しており、主人公によって復讐のターゲットと物語の真相が変わる。 主人公に選ばなかった方もそれぞれのシナリオに登場するのだが、あくまで善意の第三者であり、裏で犯罪を実行したりといった事はしない。 復讐を遂げるにはターゲットの探索から、殺害方法やトリック、殺害する順番までを自分で決めなければならず、少しでも方法や手順を間違えたり不審な行動を取ったりすれば、たちまち金田一に気づかれてバッドエンドになる。 気づかれるポイントは、プレイヤーでさえ「いくら何でも…」と思うような大失敗から、金田一の本領発揮と言えるさりげないものまでさまざま。反対にうまく欺いていけば、原作ではありえない「真相を見抜けない金田一」(と最後にちょっとだけ出てくるあの人)を見ることができる。 金田一以外の登場人物も、それぞれ裏事情を抱えているためかやけに追及的であり、「疑心暗鬼に陥った登場人物に殺される」「復讐相手を間違える」など、彼らが原因でゲームオーバーになることも多い。 バッドエンドの種類が豊富 特にちょいちょい混ざっているネタ選択肢を誘惑に負けて選ぶと、ほぼ間違いなくバッドエンドに直行する。バッドエンドにもネタ要素の強いものが多い。 なお編・卓也編にはそれぞれとんでもなく間抜けなバッドエンドがあり、なお編序盤のバッドエンドや卓也編のあるバッドエンド(*1)は、プレイヤーの間でたびたびネタとして取り上げられる。 中には復讐を決意する前に話が終わってしまうものも。普通のゲームならハッピーエンドになりそうなものだが…。 その一方で、なお編には原作初期に近い展開のバッドエンドがあり、「バッド扱いだが金田一らしい」として評価が高い。 評価点 主人公が犯人という設定を活かしたカタルシスの妙 ちょっとしたことでバッドエンドになる難しさが「気づかれずに殺人を犯す緊張感」をうまく表現しており、復讐を達成できたときのカタルシスは、他のゲームではなかなか味わえないものである。 バッドエンドが多いということは、それだけ自由な行動ができるということでもある。回避不能になる場合もあるが、フラグを立てなければ多少のミスはカバーできるし、ネタ選択肢を選んでも何回も本筋に戻そうとしてくれるなど、その点は比較的親切である。 ネタバッドエンドが多いことや金田一の追及が見られること、普通に進めていたらまず行き着かないような展開になることもあって、バッドエンドに行き着くこと自体にも妙な達成感がある。本作の殺害シーンの描写は原作に負けず劣らずどぎついが、ややオーバー気味の演出とこうしたネタ選択肢・ネタバッドエンドの豊富さがそれをある程度中和してくれている。 バッドエンド時に現れる原作の怪人たち バッドエンドになると、原作に登場した怪人たちが現れ、プレイヤーにアドバイスをしてくれる。実体験に基づいた彼らのアドバイスには何とも説得力があるが、同時に殺人という重罪を犯した犯罪者であるはずの彼らが的外れな選択をしたプレイヤーに対し正論を説き、無論全員が金田一にトリックを見破られ彼との対決に負けている者たちなので主人公にデカい口を叩ける身分でもないのに、やたら先輩風をふかしながらダメ出ししてくる様は妙に笑いを誘う(*2)。なぜか佐木2号(*3)も交じっているが、これはご愛嬌。 1つだけアドバイスのないものがあるが、これはミニゲームの狙撃に失敗した場合に見られる。「狙撃失敗という結末に怪人が呆れている=問題点があまりに明白でアドバイスのしようがない」ということである。 また、本作に登場するトリックのいくつかは原作でも使われているが、そのトリックを使うとバッドエンドになり、「金田一には同じ手は通用しない」と忠告される。 主人公のモノローグ以外は全編フルボイス。 主要登場人物のCVは当時放送が始まっていたアニメ版と異なる(*4)が、原作キャラの印象と合うような配役がされているので大きな違和感はない。 桂木なおは緒方恵美氏、阿佐桐卓也は置鮎龍太郎氏が演じており、プロローグとエピローグ、一部のイベント時、相手のシナリオへの登場時に声が聞ける。特に桂木なおは正体を隠すために男装している設定があるため、緒方恵美の少年・少女両方の演技が聞ける。 ただし渚ちはる役の鈴木史華氏は唯一声優が本業ではなく(*5)棒読み気味であり、周囲から浮いてしまっている。 賛否両論点 復讐を成功させたとしてもめでたしめでたしとはならず、「殺人犯」という業を背負わなければならない主人公の姿は、かなり後味が悪い。 「犯罪の助長やほう助を意図したものではない」と断り書きを入れている以上、殺人者が幸せになる結末にはできないだろう。原作でも金田一が「殺人は追い詰められた末に選択するある種の賭けであり、たとえ犯罪を成功させたとしても犯罪者としての十字架を一生背負うことになる」という趣旨の台詞を口にしており、それを踏まえているとも言える。 特に「なお編」終盤の展開は少しずつプレイヤーを後悔に導いた挙句、最後の最後で失意に導くハードな展開となっている。 本作のディスクのレーベル面には「事件が迷宮入りするのではないか」と報じる新聞記事が印刷されているが、主人公選択画面は「供述調書」となっている。復讐を遂げた主人公が逃げおおせたのか否かは、プレイヤーの想像に委ねるという事なのだろう。 二人の事件が同時進行するわけではなく、完全にパラレル設定。 ストーリー設定だけを見るとまるで復讐者二人が同じ場所で同時に事件を起こすように見えるが、実際にはそれぞれのストーリーは完全に独立しており、主人公でない方は事件とは全く関わりのない単なる善意の第三者となる。 ただし実際に二人が同時進行で罪を犯していたりすると今より犯行が遥かに複雑になることが想像に難くないため、こればかりは仕方ないと考えられる。 一応、後述のオマケシナリオ「金田一編」の序盤では、まるで本編の二つの事件が融合したかのようなさらにパラレル設定になっている。 自由度の高い選択肢 お遊びを含めて選択肢は多く、色々試してみるのが楽しい一方、どちらを選んでも結局展開に変化がない選択肢も多く、中には1つの行動に対して何回も選択肢を選ばせるくどい展開も存在する。 どうでも良さそうな選択肢も後々の選択肢に影響してくる。 特定の人物を疑ったり、あるトリックを行うにしても、前段階としてある選択肢を選んでいる必要があり、この選択肢はかなり前のものでも影響を与える。 このような理由から同じような話、同じようなトリックを行っても、細かい点で内容が違ったり、展開が変わったりする。 急に出てくるミニゲーム 推理アドベンチャー(しかも犯人視点)なのに最も重要な場面でミニゲームが挟まれる。 失敗すれば問答無用でゲームオーバーとなり、セーブしたところからやり直す羽目になるので、特定箇所でしかセーブできないこのゲームでは大変辛いものになっている。 しかしこのミニゲームはプレイヤー自らが犯行を行うという点では緊迫感を生むし、他のゲームでは決して見られない面白さがある。 問題点 一部シナリオの問題 ゲームの都合上仕方ないとはいえ、基本的に犯行は行き当たりばったりであり、原作のように考え抜かれた計画殺人にはならない。 計画失敗のルートでは、選択肢外のプレイヤーが干渉できない部分での失言や見落とし等で自滅することがあり、プレイヤーの選択ミスで失敗するのが基本のゲームとしては理不尽に感じられる展開も存在する。 一部シナリオの混乱 あまりにも選択肢が多く、しかも内容が細かく変わるためか、一部のシナリオでフラグ管理のミスが見られる。 例えば首しめを選んだのに、何故か氷を盗みに行くなど。 特に問題なのは「なお編」で、序盤に致命的な詰みポイントが存在する。 フラグを建てておかないと、しばらくしてから正規ルートの途中で回避不能なゲームオーバーに引っかかってしまい、クリア不可能となる。 + 具体的な行動 クリア不可能となる行動は以下の通り。 船の出航後にウェイターの仕事を始めた後、明子の話を聞かない。 船の出航後にウェイターの仕事を始めた後、バーに来た金田一と同席しない。 船の出航後にカウンターの仕事を始めた後、氷から凶器を思い付くイベントを発生させない。 このパターンのみ、チエママに疑惑を抱いた状態であれば直後にゲームオーバーとなるので、詰みを回避できる。 幸いな事に、よほど捻った発想をしないと詰む『悲報島』と違い、本作は捻くれた行動を取り続けないと発生しないのが救いである。 その上ゲームオーバー時にも適切なヒントがもらえる他、説明書にも「詰み要素があるのでセーブはこまめにした方が良い」とあらかじめ明記されている。 とはいえ、どう進めたとしてもこの詰みに直行しうる選択肢を必ず一つは通る必要があるため、プレイヤーの遊び方次第では簡単に引っかかってしまう。仮に踏んでしまった場合には、以降のプレイでバッドエンド集めに抵抗を感じる要因になる上、なお編終盤の難所(*6)を詰みと勘違いさせる原因になってしまう。 いちおう他にも詰みセーブは存在するが、それらは直前のデータを取っておけば容易に回避できる程度なので、安心して大丈夫。一見詰んだように見えても、何かしらの突破口が用意されている。 中には詰むと出現しなくなるセーブポイントも存在する。そこまで配慮が届いていたのに、この詰みパターンを見落としてしまったのは一層悔やまれる。 パラレルワールド的な展開がある なお編・卓也編は完全なパラレルワールドとして展開されるが、それぞれのシナリオ内においてもパラレルワールド的な展開がかなり存在する。 例えば片方のルートではAがやったのに、もう片方のルートではBがやっていたなど、同じ話のはずなのに内容が変わる。 どう考えても登場人物に影響を与えていないと思われる選択肢(ルート)を選んでも、何故か登場人物の行動が変わったり考え方が変わる。 このような理由から、他のルートである人物の動きを知って、ゲームオーバーになってからやり直した時に「この人物は今はこんな風に動いているはずだ」と考えても、実際は違う行動を取っていたりする。 全ての登場人物が背後で決まりきった動きをするわけではなく、選択肢によって行動がコロコロ変わるため、単純な推理ゲームとしては楽しめない部分がある。 グラフィック面は少々弱い OP・プロローグがアニメになっているのを除くと、ゲーム中のグラフィックはすべて1枚絵だけであり、セガサターンのアドベンチャーゲームにしてはグラフィックの演出がもの足りない。わずかだが、台詞と表情が一致しない場面もある。 同じ場面でもグッドエンドルートでは表示されないのにバッドエンドルートでは表示される一枚絵がある。 文章に誤字が多い 単なる誤字に加え、セリフと字幕の言い回しが微妙に異なっている場面もある。またバッドエンド時に表示される謎の暗号を番号順に並べるとテストモードに入る操作方法を示した文章になるのだが、そちらも一部の順番が入れ替わってしまっている(文意に大きく影響するものではなく、解読そのものに支障はない)。 総評 ありそうで意外とない、犯人視点で話が進む推理ゲームである。このような作品をミステリーでは「倒叙(*7)」と呼ぶが、普通は完全犯罪をもくろむ犯人が探偵に犯罪を暴かれる過程が物語のメインになるため、本作のように「犯人が探偵を出し抜く」シチュエーションにはまずお目にかかれない。 また、『金田一少年の事件簿』のもう1人の主役とも言える犯人にスポットを当てることで、復讐を遂げるまでの経緯や殺害を実行に移すまでの苦労・葛藤、金田一を欺くための努力(?)を追体験できること、「先輩としてアドバイスをする」というとんでもない役どころで怪人が出演すること、犯人にとって金田一がどれほど恐ろしい存在なのかがよく分かることなど、キャラゲーとしても優秀な点も多い。 「殺人犯になって復讐を遂げる」というインモラルな内容もあって人に勧めにくく、アドベンチャーゲームとしては不便なところが多いのは難点だが、このようなコンセプトの商業作品は国内では唯一といってもよいほどであり、ゲームならではのミステリーの楽しみ方ができる良作と言えるだろう。 余談 本作には女性の入浴などのサービスシーンが多く(これは原作にも多いが)、ゲームの異色さと相まって「本当に全年齢対象でよかったのか?」と思わされる。今だったら確実に対象年齢が引き上げられるだろう。 本作のネタ選択肢・バッドエンドは妙に作りこまれており、特に芸能界・マンガ・ゲーム・オタクに対する扱いが、悪ノリを通り越して各方面に喧嘩を売るつもりなのではないかと思うほど生々しいものになっている。また、選択肢とバッドエンドの中でちゃっかりハドソンと『週刊少年マガジン』を宣伝している。 本編の2人の主人公のコンプリートデータを同じデータファイルにセーブすると、おまけシナリオとして「金田一編」が出現する(テキストのみで、グラフィックや音声はない)。その内容は本編のパロディで、あまりにもぶっとんだギャグ調のものになっている。 ただし本編の内容の暗さを吹き飛ばすような明るさのため、ある意味救いのあるシナリオとも言える。 原作にも倒叙スタイルのエピソードはいくつか存在し、その多くは犯人から見た金田一の恐ろしさを余すところなく描写している。そうしたエピソードの数々が、本作誕生のきっかけになったのかもしれない。 該当作は『タロット山荘殺人事件』『仏蘭西銀貨殺人事件』など。文庫版やコンビニコミックス版は単品収録されているので、興味のある方は是非。 中には本作のネタエンドよろしく、全てをギャグに振り切った短編エピソードも(『殺人レストラン』など)。 2017年よりスマホアプリ「マガジンポケット」にて、原作を元にしたスピンオフ漫画『金田一少年の事件簿外伝 犯人たちの事件簿』が連載され、単行本化もされている。 本作と同様に犯人視点の物語となっているがシリアス要素は皆無であり、原作で金田一が解決してきた事件の犯人たちがいかに苦労して殺人を実行に移してきたのか、そして 彼らにとっていかに金田一が恐ろしい存在であるのか をコメディタッチで綴るギャグ作品となっている。本作に出演する怪人たちのアドバイスを照らし合わせて読むと面白いかもしれない。 この漫画の話題に際し、本作が引き合いに出される事も多い。 攻略本ではゲームオーバー時に「秘宝島殺人事件」の山童や「異人館ホテル殺人事件」の赤ヒゲのサンタクロース(*8)も登場するかのように書かれている。実際のゲームには出てこないが、没要素だろうか(一応オープニングには登場している)。 なお(よく誤解されるが)「秘宝島」の怪人は山童ではない。正しくは「招かれざる客」である。